ターニングポイント 第148話蹴鞠
大阪城に着いた士郎は伊藤の命により勇と勇の家臣大地と共に豊影の付き人になる事になった。
「おい、小僧お前みたいなカスが俺の付き人に成れた事めちゃくちゃ感謝しろよ」
はぁ、何言ってんだクソ猿。お前の飼育を何で俺がしなきゃいけないんだよ
と思いつつも自分の感情に嘘をつき
「はい、ありがたき幸せです」
と答える事しか出来なかった
諸大名達は豊影に集まるように言われて大阪城の広間に集まっていた。
豊影は皆が揃ってから三十分後に来たにもかかわらず偉そうに
「おー諸君、よくぞ集まったな」
士郎は小さな声で勇の家臣大地に
「おい、あの猿ムカつくな、死ねばいいのに」
士郎の発言に大地は慌てて
「おい、やめろ。聞こえたらどうすんだ」
頭を下げている諸大名達に偉そうに
「おい、頭を上げていいぞ」
諸大名が一斉に頭を上げる。
「諸君のおかげ?いや俺の実力で萬崎でも出来なかった天下統一を成し遂げた。凄いだろう」
「おい、なんだあの猿のムカつく話は」
「おい、マジでやめろ。聞こえたら殺されるぞ!」
豊影が気持ちよく話を続けている途中で
「もしもしかめよ~かめさんよ~」
と歌いながらけん玉している男が現れた。
皆はその男を見てなんてヤバい奴なんだと思い凄く驚いた。
豊影はこの男の登場に深くため息をついた。
士郎はその男の登場に驚き
「おい、すげぇ、ヤバい奴いるじゃんあいつ誰?」
「萬崎殿の親戚の子らしいよ」
「えっ!魔王の親戚にあんなヤバい奴がいるのか?」
「まぁ、ホントの親戚かどうかわからないけどね」
「どういう事だ?」
「あの男太閤殿下が萬崎殿の親戚って言って連れて来たんだよ」
「じゃあ、絶対に萬崎の親戚じゃないだろ。あんな頭おかしそうな奴は豊影の親戚だろ」
「まぁ、真相はわからないけど萬崎の親戚だと思って接するようにな」
「わかった」
このヤバい男はいきなり諸大名に向かって
「俺の名はノリピカだ!よろしくな」
諸大名が頭を下げる中士郎は少し笑いながら
「おい、ノリピカだってよ。名前からしてめちゃくちゃ頭悪そうじゃん」
大地は士郎が笑っているのを見て自分も笑いそうになるが必死に堪えて
「おい、よせよ。士郎」
豊影はこいつを表に出すのは嫌だと思っていたが仕方ないと思い渋々
「このお方が萬崎殿の親戚のノリピカ殿だ」
紹介されたノリピカは嬉しそうに
「よーよー諸大名、俺がこの国ナンバーワン。今から蹴鞠をして見せるからよく見ろよー」
ノリピカが蹴鞠をし始めると豊影が
「おい小僧、大地ノリピカ殿をお部屋にお返ししろ」
はぁ、こんなヤバい奴それがしらに押し付けるなよ
と思いつつも
「はい、わかりました」
と言って士郎と大地はすみやかにノリピカを部屋に連れて行ったのであった。
士郎は一日の勤務が終わると勇と大地と相部屋の部屋に戻った。
「おい、勇今日のノリピカとか言う奴だいぶヤバくなかった?」
「あぁ、噂には聞いてたけどあそこまでヤバい奴だとは思わなかったわ」
大地は笑いながら
「あれは本物だよ。ヤバい俺あいつが現れた時少し噴き出したもん」
士郎も笑いながら
「ビックリしたもん。けん玉しながら現れた時」
勇も笑いながら
「あれは笑うは、あんな緊迫した状態でけん玉出来るのはもはや才能だよ」
三人はノリピカの頭のおかしさと豊影の悪口を大笑いしながら語り合ったのであった。
豊影が諸大名を集めて領地配分などの大事な話をしようとしている時もノリピカはすっとんきょうな声で
「あちょーおぉ!」
「それ、それそれそれそれそれ」
一人で蹴鞠をはじめ一人で声掛けをし必死に球を追いかけるノリピカを見て士郎は小さな声で
「ヤバい、笑けて来る」
大地も必死に笑いを堪えながら
「我慢しろ、士郎」
士郎はクスクスしながら
「だって、あんな緊迫した場面でいきなりあちょーおぉ!だってよ」
「やめろ、士郎。ホントにやめろ」
「一人であんな事してるのバケモンだよ」
「士郎お前もうしゃべるな」
ノリピカにイライラしながらも諸大名に話し続ける豊影の顔面にノリピカは思いっきり蹴った球をぶつけてしまった。
その瞬間を見ていた士郎は必死に笑いを堪えながら
「なぁ、今の見た?豊影の顔にもろ当たってたよ」
大地も必死に笑いを堪えながら
「見た、見た。さすがにあれはヤバいだろ」
「なぁ、球が当たった瞬間豊影の首が首振り人形みたいにぼよよーんって揺れたぞ」
「おい、笑わせるな士郎」
球をぶつけられた豊影は怒りを抑えながら
「ノリピカ殿このような場所で蹴鞠はやめて頂きたい」
ノリピカは豊影の表情とは反対に笑顔で
「豊影殿、お主の球が当たった時のリアクションとてもよかったぞ」
この会話を聞いていた士郎は
「だめだ、あいつ日本語が通じてないぞ」
「おい、余計なことを言うな。笑っちゃうだろ士郎」
士郎は笑いながら
「今回ばかりは豊影が可哀そうだ」
大地も思わず笑いながら
「やめろ、これ以上しゃべるな。士郎」
豊影はノリピカに
「後でいくらでも蹴鞠をしていいので今だけはやめてください」
「おい、そんなこと言うなよ。一緒に蹴鞠をしようぞ。さぁ立って、立って」
そう言ってノリピカは豊影の服の袖を引っ張る。
豊影は深いため息をつく事しか出来なかったのであった。
豊影は毎回自分が大事な話をする時に邪魔をするノリピカに頭を悩ませるようになっていくのであった。




