ターニングポイント 第146話嘆願
暴走が討ち死にしたとの知らせが金山城を守る天羽家の元に届いた。
「殿、大変です小田原で大きな戦がありそこで暴走殿が討ち死にされました」
「えっ!暴走殿が討ち死に」
終わった、全てが終わった
そう思った経丸は膝からその場に崩れ落ちた。
経丸の元に暴走が討ち死にしたとの情報が入ってすぐに勤勉と大和が使者として金山城に現れた。
勤勉丁寧に
「天羽殿、大山家は滅亡しました。太閤殿下に敵対する勢力は日ノ本で天羽家のみとなりました。速やかに降伏してください」
片倉が
「今さら豊影に降伏しても天羽家は許される保証はあるんですか」
片倉の質問に勤勉と大和は少し困惑しながら
「助命嘆願はしますが確実に命を保証するとは言えないです」
経丸は真剣な表情で
「私の命を差し出せば天羽家の皆は助かるんですか?」
経丸の発言に凛が大声で
「経丸さん!なんてふざけた発言しているんですか‼」
経丸は凛の大声にビビりながらも大きな声で
「何がふざけているんですか‼」
「ふざけていますよ!兄貴はプライドから何から全てを捨ててでも天羽経丸を全力で守ろうとしているんですよ!今の発言兄貴の前で兄貴の目を見て本気で言えるんですか‼」
凛は目から溢れ出す涙を抑えられないまま
「お願いします経丸さん。簡単に死のうとしないでください」
経丸は凛を抱き寄せ頭を優しくなぜながら
「ごめんね、そしてありがとう」
経丸は勤勉と大和に真剣な表情で
「私達全員の命を保証できないのなら天羽家は豊影に降伏する事はありません」
勤勉は堂々と
「わかりました。我らも全力で天羽家の助命嘆願をします」
経丸が勤勉と大和に大きな声で
「本当にありがとうございます」
深く頭を下げる経丸に続いて天羽家の皆も大きな声で
「本当にありがとうございます」
と言って深く頭を下げたのであった。
豊影の山城では
士郎は豊影に呼び出されていた。
豊影は偉そうに肘置きに右ひじをつきながら
「おい、小僧。俺の言いたいことはわかってるよな」
士郎は豊影の前に正座しながら
「天羽家の処分の事ですよね」
「そうだ、それで俺は全力で天羽家を潰そうと思う」
士郎は頭を下げながら
「お願いします太閤殿下、天羽家はそれがしが必ず降伏させるので命だけはお助け下さい」
豊影は頭を下げている士郎の頭を右足で踏みつけながら
「小僧、お前は甘ちゃんだな。あれだけこの俺に逆らっといて命を救ってもらおうなんて虫が良すぎやしないかなぁ」
士郎は頭を踏まれることに怒りを覚えたが必死にその感情を抑えながら
「太閤殿下の言う通り虫のいいお願いをしているのですがそれでもお願いします。天羽家全員の命をお助け下さい」
「お前、今俺に踏まれている事に怒りの感情はないのか?」
「太閤殿下が天羽家の命をお助けしてくださるのであれば太閤殿下の行う事に怒りの感情など芽生えませんむしろ感謝の気持ちしか生まれません」
「小僧、こんな屈辱を味わってでも生きたいと思うのか?」
「はい、命だけはお助け頂きたい」
豊影はニヤニヤしながら
「小僧、情けないぞ」
「太閤殿下、お取込み中失礼します」
頭を下げている士郎の隣に勤勉と大和が現れた。
「おっ、お前らどうした」
「天羽家は太閤殿下に降伏するつもりらしいです」
「おっ、そうかあの馬鹿共やっと俺の凄さを知ったか」
士郎は天羽家を馬鹿にされている事に怒りの感情が沸々と湧き上がるが歯が折れる位食いしばって必死に抑える。
豊影は低く圧をかける声で勤勉と大和に
「天羽経丸に切腹を命じよ」
士郎は豊影の言葉に
「経丸が切腹!」
豊影は士郎の頭を足でぐりぐりしながら
「小僧、俺はもの凄い優しいなぁ。最後まで抵抗した馬鹿を武士として死ねるようにしてあげるんだから。俺以外だったら引きずり回して打ち首だぞ」
士郎は怒りの感情必死に抑えながら
「太閤殿下、お願いします。天羽家の者の命を助けてください」
勤勉と大和も正座し畳に額をつけながら
「太閤殿下、天羽の者をお許しください」
士郎は勤勉と大和の行動に驚き呟くように
「勤勉殿、大和殿」
「お前達まで、何言ってんだ!あの馬鹿共は俺に最後まで逆らったんだぞ」
勤勉が
「私は此度の戦の褒美は辞退させていただくので天羽家をお許しください」
大和も
「私も褒美を辞退させていただきますのでお願いします。経丸をお許しください」
勤勉と大和の土下座を見た伊藤は
これは、面白い
「お前達、馬鹿を申す出ない‼」
怒鳴る豊影に伊藤は冷静に
「太閤殿下、ここは天羽家を許しましょうよ」
豊影は眼光鋭く勤勉と大和を睨み付けながら
「お前まで何を言ってるんだ‼」
「太閤殿下は天下人ですよ。あんなコバエにむきになる必要ないですよ。ここは天下人の器の大きさを日ノ本中に知らしめましょう」
豊影の顔色が変わり
「そうか、俺の器の大きさを日ノ本中に知らしめてやるか」
「はい、それがいいと思います」
豊影は士郎の頭から足を外して士郎の顔を思いっきり掴みながら
「おし、小僧許してやるよ。めちゃくちゃ俺に感謝しろよ」
「はい、ありがとうございました」
これによって天羽家は許されることに決まったのであった。




