ターニングポイント 第143話幕張
金山城の天羽家の元に勤勉と大和が現れた。
勤勉と大和は低姿勢で
「天羽殿、お願いします我らに降伏していただけませんか」
頭を下げる二人に経丸はハッキリ
「すみませんがそれだけは出来ません」
勤勉は少し困った感じで
「我々は天羽家と戦いたくありません」
経丸は二人の目を真剣に見ながら
「私達には戦う覚悟が出来ております」
大和が必死に
「私達が全力で天羽家の領土安堵を太閤殿下に言いますから。だからお願いします。降伏してください」
勤勉も同調するように
「そうです。無駄な血を流すのはやめましょうよ」
経丸は強い口調で
「すみませんが何と言われても降伏はいたしません」
経丸の固い決意を感じて説き伏せる事は出来ないと思った勤勉と大和は渋々自分の陣営に戻って行ったのであった。
その頃、諸大名から豊影に降伏すべきだとの手紙が送られてきた東北の英雄幕張慎之介はまとめて手紙を破り
「ふん、豊影の犬共が俺に意見するなんて百年早いわ‼」
「殿、もう一枚手紙が来ております」
幕張は家臣から手紙を受け取りながら
「どうせ、同じ事書いてあんだろ」
読まずに破り捨てることはせずに一応手紙に目を通すと
幕張殿、今が時代の転換期です。豊影に降伏しろなんて言いませんが一度その目で豊影の大軍を見て見なされそれからどうするか考えても遅くはないと思います。金崎熊太郎の家臣奈月
奈月からの手紙を読み終えた幕張は
「こいつだけは、他の人間と言っていることが違うな」
幕張慎之介は
この手紙だけは破り捨てずに
「少し、豊影軍の様子を見てみるか」
幕張慎之介はそう一言言って小田原の豊影の軍勢を見に行く事にしたのであった。
幕張慎之介は奈月からの手紙を読んでから二週間後にはお忍びで豊影の本軍が見える場所にいた。
幕張は豊影の軍に度肝を抜き
これは、凄い軍勢だ!こんなものを相手にすれば幕張家は確実に滅びる
幕張は豊影に抵抗することをあきらめ死を覚悟して白装束で豊影の前に現れ豊影にひれ伏し
「此度の遅参誠にすみませんでした」
謝罪する幕張に豊影は偉そうに
「東北の田舎大名も俺の凄さに怖気づいたか」
幕張はイラつく感情を抑えながら
「大バカ者の私は豊影殿の凄さに気づくのが遅かったことを心からお詫びします」
豊影は大笑いしながら幕張の肩をポンポンと叩いて
「確かにお主は大馬鹿者だな」
「はい」
「まぁ、お主は宮城以外の領地は全て没収!これで許してやろう」
「はい」
頭を下げる幕張に豊影は笑顔で
「どうじゃ、俺はもの凄い優しいだろ」
幕張は心の中では
優しいもんかと思いながらも
「はい」
豊影は幕張の肩を軽く叩きながら低い声で呟くように
「この優しさ生涯絶対に忘れるなよ」
「はい」
幕張慎之介は生涯この屈辱を忘れない事を心の中で誓ったのであった。
豊影はこの日一日中上機嫌だった。
「おい、伊藤あの田舎者も俺の凄さに怯えてたな」
「それはそうですよ。太閤殿下はこの日ノ本で一番の権力者何ですから」
伊藤の言葉に豊影は気分が良くなり伊藤の肩を叩きながら
「そうか、そうかいい事言うな。伊藤は」
伊藤は真剣な表情で
「太閤殿下、そろそろこの戦終わらせますか」
「小田原城を攻め落とすのか?」
「いえ、太閤殿下が作った城を大山家に披露するんですよ」
「披露?」
「小田原城には見えないようにしていた城の周りの木を一斉に伐採し小田原城から城が見えるようにするんですよ」
「大山に城の存在を示してどうする」
「幕張が太閤殿下に服従し更に立派な城がいきなり現れたとなれば大山家は戦う意志をそがれ我らに降伏するでしょう」
「なるほど、それは言い案だな。早速やれ」
「はい、わかりました」
その頃小田原城では
大山暴走は爪を噛みながら
天羽家が十万の兵に囲まれ動けぬ今我らの頼りは幕張家のみだ。幕張慎之介いつ我らの元に援軍に来るんだ。
「総長、幕張慎之介が豊影に服従しました」
家臣の言葉に驚きのあまり唖然とししばらくしてから
「今なんて言った?」
「幕張慎之介が豊影に服従しました」
大山暴走は畳の上で崩れ落ち
終わった、全てが終わった
その大山暴走に追い打ちをかけるように
「総長‼向かいの山に突然城が現れました」
豊影は慌てて城の窓から向かいの山を見るとそこには立派な城の姿があった。
暴走は蚊の鳴くような声で
「嘘だろ、嘘だろ」
暴走はあまりのショックで立ち上がる気力もなく抜け殻の状態になってしまったのであった。
いきなり現れた城に大山家の者達は激しく動揺したのであった。
豊影は城の窓から上機嫌で
「おい、伊藤。大山の者達が動揺してるぞ」
伊藤は冷静に
「やっと、あの馬鹿達は太閤殿下の凄さがわかったんですね」
豊影は大笑いしながら
「やっとわかったのか、馬鹿は本当に哀れだな」
伊藤も笑いながら
「そうですね、哀れですね」
二人は固い握手を交わしたのであった。
豊影はその夜諸大名を集めて盛大な飲み会をやったのであった。
その夜小田原の大山家では暴走は家臣達を集めて真剣な表情で
「明日、我らは豊影に降伏する事にする」




