ターニングポイント 第140話介錯
戦いを終えた。天羽家の皆は金山城に戻り広間で
「凄かったですね!殿見事なまでの完勝ですよ」
片倉の言葉に経丸は
「ホントですよ。めちゃくちゃすっきりしましたね。これも凛ちゃんの作戦のおかげだね」
凛は経丸に褒められて照れながらも
「いや、私は皆と違って戦ってないですから大したことしてませんよ」
謙遜する凛にひのが
「凛ちゃんは凄い人だな。こんな凄い作戦を立てても自慢の一つもしないなんて」
海老太郎は食い気味に
「そうですよ!士郎さんなら一年は自慢しますからね」
皆頭の中で一斉に確かにするなと思い
海老太郎の言葉に皆笑った。
凛は少し真剣な表情で
「まぁ、でも戦はまだ終わっていませんから。これからが本番ですから」
皆は凛の言葉を聞いて気を引き締めなおした。
その頃金山城の麓に逃げた丹野、大木軍は
「天羽にしてやられたな」
丹野の言葉に大木は強い口調で
「してやられたじゃないよ。途中で引けばこんなにも犠牲を出さなかったのに」
「仕方ないだろ、あんなに一方的にやられてて簡単に退けるかよ」
「でも、五万もいた軍勢が一万を切ったんだぞ」
「まぁ、でも兵の数はいくらでもいるじゃないか。とりあえず太閤殿下に五万の兵の援軍を要請しよう」
「簡単に言うなよ。この負け戦を太閤殿下が聞いたら俺らめちゃくちゃ怒られるぞ」
「えっ、ヤバいかな!」
「ヤバいな。下手すれば切腹もんだよ。これ」
丹野は頭を抱えながら
「うわぁ、マジかどうしよう」
うろたえる丹野に大木は
「取り合えず、この敗北まだ太閤殿下の耳に入れないようにしよう」
「そうだな」
明け方の四時頃
稲荷が経丸に
「敵は今日の戦での疲れからぐっすり眠っていました」
「そうですか、ありがとうございます稲荷さん」
経丸が皆に向かって
「皆さん準備は出来ましたか?」
「はい‼」
経丸達は凛と千の兵を城の留守番に残してその他は金山城の麓のお寺に泊まっている丹野と大木を討つため金山城を出立した。
経丸達は夜襲が敵方にばれないように音の鳴る鎧を着ずに同士討ちをしないように白い服に着替えている。
「ひっのー、よるのお出かけってなんかワクワクするよね」
海老太郎の言葉にひのは首を縦に振りながら
「わかります。凄くわかります」
経丸は優しい口調で
「二人ともこれはお出かけじゃなくて戦ですから気を引き締めてください」
二人は素直に
「すみません」
と謝った。
経丸達は山を慎重に音を立てぬように降りていき丹野、大木軍が泊まっている寺に着いた。
「殿、今です」
片倉の言葉を聞いた経丸は大声で
「今だ!かかれー‼」
天羽軍が勢いよく、寝ていた丹野、大木軍に襲い掛かった。
丹野と大木は
いきなりの騒ぎに飛び起き
「どうした。何があったんだ‼」
「天羽軍が、攻めて来ました」
丹野は大声で
「クッソー、あの尼め‼」
大木は慌てて
「ここは逃げた方がいいんじゃないか」
丹野は迷わず
「そうだな、取り合えず逃げよう」
経丸達は
「天瞬羽突‼」
「懸命守覚‼」
「てんてこ舞い」
「ひびせいちょう」
と各々叫びながら敵兵を討ち取っていった。
経丸は敵兵を討ち取りながら
「丹野、大木出てこい‼」
片倉は敵兵の首を絞めながら
「おい、丹野と大木はどこに逃げた。話せばお前を逃がしてやる」
片倉のあまりの迫力に敵兵はビビりまくり震えながら逃げる丹野と大木を指さし
「今あっちに向かって逃げているのが丹野と大木です」
「ありがとう」
片倉は男を開放し
「殿!あっちに逃げているのが丹野と大木です」
「わかりました。すぐに追いかけます」
経丸は敵を斬りながら必死に丹野と大木を追いかけた。
経丸が追っている事に気づいた丹野は自分だけでも生き残るために大木の足を引っかけて転ばした。
「おい、てめぇなにすんだ‼」
「ごめんよ、俺の代わりに犠牲になってくれ」
「ふざけんなよ!丹野‼」
丹野は大声で叫ぶ大木を見捨てて逃げて行った。
経丸はその様子を見ていた経丸は転んでいる大木をほっておいて丹野を追いかけ後ろから襲い掛かり丹野の首を刎ねた。
丹野の首を取ってすぐ引き返し大木の元に行くと大木は震えながら泣き叫ぶように
「命だけは、命だけは許してくれ。頼むから」
もう戦の決着はついたんだからこんなに命乞いしてるし命までとる必要はないか
経丸は許そうと思い刀を鞘に入れようとした瞬間大木が襲い掛かって来た。
経丸は大木の攻撃を間一髪でよけて
「命乞いをしたくせになぜ私に不意討ちしてくる‼」
経丸に怒鳴りつけられた大木は開き直り大声で
「うるさい‼貴様みたいな弱小の家に大軍で掛かって負けた俺達は豊影に殺されるんだ!だからせめて、てめぇの首だけでも取れば生きる望みがあったんだ‼」
大木はもうすべてが終わった事を悟り
「さっさと首を刎ねろよ‼」
経丸は大木に小刀を差し出し
「最後は武士らしく切腹して果てよ」
大木は小刀を受け取り経丸に丁寧に頭を下げて
「武士として死ねる事、感謝する」
大木はその場で切腹をした。経丸は大木の介錯をしたのであった。
これにより丹野、大木五万の軍と天羽軍八千の戦は天羽軍の大勝利となって大山軍と豊影軍に知れ渡るのであった。




