ターニングポイント第139話 堀切
五万を率いている丹野雅史と大木末治の二人が標高二百メートル以上ある山城の金山城にやって来て偉そうな態度で
「今、我らに降伏すれば天羽家の罪は問わないものとしてやる」
経丸達は黙って聞いている。
降伏と返事をしない経丸に丹野と大木の二人はイラつきながら
「天羽家の者ども、我らは五万の兵を引き連れているバカじゃなければ降伏すべきだと思うが」
経丸は丹野と大木の舐めた態度に対して冷静に
「じゃあ、私達はバカなので降伏はいたしません」
「はぁ?何言ってんだ。お前」
驚く丹野と大木に経丸は笑顔で
「あなたがじゃ五万の兵力でもこの金山城は落せないと思いますよ」
丹野と大木は経丸の言葉に怒り声を張り上げて
「お前、我らを愚弄する気か‼」
「あなた方はおしゃべりしに来たのですか?」
「お前さっきからこの野郎‼」
経丸に殴りかかろうとする丹野と大木に対して片倉は速やかに刃を向けると刃を向けられた二人はビビってその場に座り込んだ。
「お前、我らはここに来るまで二つもの城を落としたんだぞ」
経丸はのほほんとした態度で
「さようですか、では戦場で相まみえましょう」
丹野と大木は大声で
「お前、覚えておれよ!」
と叫んで去っていった。
経丸は丹野と大木が去るとふぅーとため息をついた。
ひのが経丸にお茶を渡して
「殿、さっきかっこよかったです」
海老太郎も大きな声で
「殿、ホントかっこよかった!士郎さんがいたら惚れながら脱糞してましたよ」
海老太郎の言葉に片倉が
「何で脱糞すんだよ」
とツッコミ皆笑った。
丹野と大木は
「クッソ、ムカつくなあの女城主‼」
「あのバカにわからせてやろうぜ権力に逆らったらどうなるかって事を」
「あぁ、あいつら徹底的に潰してやる」
丹野は大きな声で
「皆の者金山城に総攻撃をかける!出陣じゃあ‼」
五万の軍勢が一斉に金山城に向かって行った。
海老太郎は物見台から大声で
「殿、敵が攻めてきてます」
経丸は敵兵を見ながらも動揺しないように
大きく深く深呼吸をして気持ちを落ち着かせてから皆の士気を高めるように大声で
「皆、奴らに見せつけてやりましょうよ。天羽家の恐ろしさを」
皆は声を揃えて
「はい‼」
丹野、大木率いる五万の軍勢は勢いよく山を登って来たが突如現れた堀切に
困惑するが
丹野が
「何をもたもたしている全軍進め‼」
金山城に大軍で攻め上って来る敵に対して四つほど※堀切があり竪堀は山に対して竪に敵兵が横移動が出来ないため大軍が縦になってしか進軍で出来ないため一斉攻撃が出来なくなってしまうのである。
※堀切とは山の尾根を意図的に分断し敵の侵攻を防ぐための施設山城では基本的な施設です。
堀切を必死に登ろうとする敵兵の前に堀切の上で待ち構えていた海老太郎率いる弓矢隊が海老太郎の
「ひびせいちょう‼」
の掛け声に合わせて一斉射撃を行った。
敵軍は海老太郎の攻撃に次々と討たれていった。
次々と討たれ困惑する味方に丹野は大声で
「こっちは数で圧倒してるんだ‼怯むんじゃねぇ進め‼」
敵兵は多大な犠牲を出しながらも何とか第一の堀切第二の堀切を突破した。
敵兵が細い道を縦になりながら進んでいくと目の前の一人くらいしか通れない土橋に片倉が現れた。
「我こそは天羽家家臣。片倉水道ここを通りたければ我を倒せ」
片倉の姿しか見えない事に丹野と大木は
敵はよほど兵の数がいないんだな
丹野と大木はニヤッとし
「敵はたった一人だ!さっさと討ち取れ」
一人ずつ片倉に襲い掛かるが
日ノ本一最強の男片倉に一対一で勝てるやつなど存在するはずもなく次々と討ち取られていく。
片倉は大声で
「弱すぎて本気を出す必要もなし‼」
この言葉に丹野はいらだち
「何をグズグズしてるんだ。奴を倒せないなら土橋から降りて堀切から突破せよ‼」
この丹野の一言で敵兵が堀切に落ちると片倉は
凄いな凛ちゃん作戦通りだぜ
片倉はニヤッとして大声で
「今だ、放て‼」
突如弓矢隊が現れ敵兵に一斉射撃を行った。
これにより丹野、大木の軍は大打撃を受けた。
大木は丹野に
「これはひとまず撤退した方が」
「いや、ここまでボコボコにされて引っ込むわけにいかないだろ」
丹野は大声で
「全軍突撃‼」
丹野、大木の軍は何とかここも突破したがここまでの戦で天羽家がほとんど犠牲を出していないのに対して五万の軍勢が三万にまで減ってしまったのであった。
ここを突破した丹野、大木の軍の前に今までとは比較にならない大きな堀切が現れた。
大木は弱気に丹野に
「もう、これ以上の進軍はやめようぜ」
意地を張った丹野は大声で
「何をいう、ここまで来たんだ。ここで引けば我らの完敗ではないか」
「しかし、味方の兵の士気はもうかなり下がっているぞ」
「だから何だ、そんなのは関係ない」
丹野は皆に向かって
「この堀切を超えれば奴らにはもう策などない。全軍突撃だ‼」
丹野の命令で士気が下がっている兵達は渋々堀切を登り始めようとすると
上からひの率いる千五百の兵が一斉に銃や弓矢や石で射撃した。
次々と討たれる兵に対して丹野は大声で
「怯むな‼必ずここを突破せよ」
丹野、大木軍は多大な犠牲を払いながらもなんとか突破しへとへとの状態で大手虎口にたどり着いたが
「かかれー‼」
経丸の命によって長槍部隊が一斉に丹野大木軍に襲い掛かった。
へとへとの丹野、大木軍は抵抗という抵抗が出来ず五万もいた兵が一万を切ってしまった。
大木は丹野に向かって大声で
「もうここは退く以外に選択肢はない!まだ、戦いたいならお前一人で戦え‼」
そう言って去って行く大木を丹野は
「わかった。俺も退くから待ってくれ‼」
そして丹野は大きい声で
「全軍撤退‼」
と叫んだのだった。
経丸は撤退する丹野、大木軍を見て
「勝ち鬨を上げよ‼」
経丸の声に合わせて
「えい、えい、おー!」
と天羽家の兵は勝ち鬨を上げたのであった。
凛は城の窓から勝ち鬨を見てニヤッとして
「これからが本番ですから」




