ターニングポイント 第132話高政
「片倉さん、海老太郎君、兄貴から手紙が来ています」
凛は片倉と海老太郎共に士郎からの手紙を読んだ。
手紙の内容は
それがしの脱糞話で暴走殿と盛り上がって仲良くなり暴走殿は金崎殿を、高政殿を殺した犯人が見つからない限り攻めこまないと約束してくださった
三人は手紙を読んで
「はぁ?なんで、脱糞話で仲良くなるんだろう?」
「まぁ、士郎君の脱糞の話面白いからな」
海老太郎も
「そうだよ、面白いもん」
凛は顔を引きつらせながら
「えっ、あんな下品な話が面白いの?」
片倉と海老太郎は声を揃えて
「面白い‼」
凛は益々顔をひきつらせたのであった。
士郎は金崎家に暴走が勘違いをしているから誤解を解きに来てくださいと手紙を送った。
その手紙を受けた金崎家の当主熊太郎とその家臣奈月が小田原城にやって来たのであった。
熊太郎と奈月は緊張していて強張った表情で暴走の前に現れた。
士郎は二人が緊張していたらほぐすように暴走に言われていたので
初対面の熊太郎に
「熊太郎殿、歳はいくつですか?」
「二十三でございます」
士郎はテンション高めで
「そっか、それじゃあそれがしの後輩だ?」
「はい?」
「熊太郎殿も国子殿の教えを受けていたろ」
「はい、受けていました」
奈月はもの凄い嫌そうな顔で
「何ですか?この失礼な奴」
士郎は元気よく
「天羽経丸の家臣外岡士郎だ」
「聞いたことない名前だなぁ、何も名を上げる事したことないでしょ。この人」
お前の方がだいぶ失礼な奴
と思っている士郎の横で暴走がぼっそと
「あの有名な脱糞男ですよ」
熊太郎と奈月は
「あー!あの有名な脱糞かー」
「ふざけるな!それがしは大多喜の英雄だぞ」
奈月は少し驚いた感じで士郎を指さし
「この人、虚言の癖がある方なんですね」
暴走は小さく頷きながら
「否定はできません」
士郎は大声で
「そこは、否定しろよ‼」
「しかし、脱糞してまで逃げてよほどプライドがない人なんですね」
士郎は決め顔で
「プライドなんかねぇよ、天羽経丸を守れるならどんな恥だってかいてやるんだから」
士郎の言葉に間を置かずに奈月は床を指しキレながら
「プライドねぇなら床舐めろ‼」
奈月の言葉に皆が大笑いした。
士郎は一瞬、奈月の言葉に驚いてから
「誰が、床舐めんねん!それがしは雑巾か?」
奈月ははぁとため息をつきながら
「それは、ツッコミ普通過ぎるわ」
「お前、それがしに厳しすぎる‼」
奈月は笑顔で
「だって、私あなたの事嫌いだもん」
皆が笑う。
士郎は少しムキになって
「はぁ!それがし嫌われることしたか?」
奈月は呆れた感じで
「もう、それが嫌いやもん」
皆が大笑いする中、士郎は大声で
「もう、話し合いを始めましょう‼」
熊太郎と奈月は暴走の前で膝をついて
「此度は我らの領内で高政殿を亡くしてしまい申し訳ありませんでした」
頭を下げる二人に暴走は
「あなた方が、高政を殺したのか?」
熊太郎は強い口調で
「いえ、殺しておりません」
「じゃあ、高政はどうして死んだ。自害か?」
「いえ、自害ではありません。高政様は毒殺されました」
「毒殺!」
驚く暴走に奈月が丁寧な口調で
「高政殿が亡くなったのが、国子殿が亡くなってすぐの金崎家が混乱状態の中だったのでその混乱に乗じて何者かが毒殺をしたのかと」
二人の目を見て二人が本当の事を話していると感じた暴走は呟くように
「そうか、そうだったのかぁ」
ふうーっと息を吐いて
「高政はそちらで迷惑をかけたりしなかったですか?」
「迷惑どころか、新潟の民のために毎日よく尽くしてくれました」
話している途中に泣き出す奈月の背中を熊太郎は優しくさすった。
「そうか、高政は金崎家の為になっていたのかそれはよかった」
奈月は泣きながら
「暴走殿、このような形になってしまい申し訳ありませんでした」
泣く奈月に暴走は優しく
「よかった。高政が二人みたいにいい人と日々を過ごせて」
熊太郎は泣くのを堪えながら
「暴走殿」
暴走の誤解が解け金崎家と大山家は和睦を結んだのであった。
暴走は一人になると高政との思い出を思い出していた。
回想
高政が3歳の時に暴走は妻の綾子を亡くした。
暴走は男で一つで高政を育てたのでそれはそれは大切に育てた。
大事に大事に育てられた高政は暴走を尊敬するようになった
8歳になったある日金崎家との和睦のために暴走の一人息子高政を人質として送ることになった。
金崎家へ人質として行く時に
「ごめんな、高政お主を人質として金崎家へ行かせることになってしまって」
謝る暴走に高政は
「父上、私は金崎家で強くなってきます」
暴走は高政の言葉に少し驚いて
「高政」
高政は力強い口調で
「父上の後を継げるような立派な武将に成れるように強くなりますから」
高政はそう言って金崎家へ向かっていった。
高政の成長を感じた暴走は金崎家へ向かう高政の背中を見て泣いたのだった。
回想終わり
その時の事を思い出した暴走は俯き大粒の涙を流しながら
「高政、ごめんな守ってやれなくて」
帰る、熊太郎と奈月を見送る士郎に奈月は士郎の元に駆け寄り士郎の耳元で
「経丸殿のいう通りあなたはいい人ですね」
奈月の言葉に士郎は
「えっ?えっ⁉」
奈月は士郎に頭を下げて熊太郎と共に手を振りながら笑顔で
「また、戦で脱糞すんなよ‼」
士郎は大きな声で
「やかましいわ‼」
熊太郎たちは新潟の春日山城に帰って行ったのだった。




