表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
128/159

ターニングポイント第128話武士

 勇は片倉の発言に少し驚きながら


「あなたが片倉水道殿か」


「勇殿の御父上を討った私が勇殿の前に顔を出すことなどしてはいけない事を重々わかっていましたが、しかし大変お世話になったその師匠の息子が窮地と聞いてこずにはいられませんでした。だからこうして勇殿の前に馳せ参じました」


 片倉は勇の前に自分の刀を差しだして


「もし、私が憎く邪魔ならこの場で首を刎ねてください」


 凛には片倉の行動に驚いている暇などなかった。凛は勇が刀を取ったら勇を直ちに斬るため自分の体中に緊張が走りもの凄い量の汗が噴き出す。


 凛は勇を見つめながら心の中で念じるように


 勇殿、お願いします。片倉さんを斬らないでください。私は不意討ちなどしたくはありません


 勇は片倉の刀を取らず片倉の前に木刀を置いて


「片倉殿、少し私と手合わせしていただきたい」


「はい」


 勇は凛の元に行き耳元で


「大丈夫だ、片倉殿を斬るなど断じてしない」


 凛は、えっ!なんで私の考えていたことが分かったのと思ったのと同時に、勇の言葉は嘘ではないと感じ安堵感で体中の力が一気に抜けてへなへなになった。



 片倉は勇の思惑がわからなかったが取り合えず勇に付いて行き表に出た。

 

勇は真剣な表情で


「遠慮せず本気で掛かって来て下さい」


 勇の表情を見て片倉は


 あの表情本気の時の師匠と全く同じ顔だ


 勇の思いを感じ取った片倉は覚悟を決めて


「はい」


 片倉は手加減せず最初から本気で勇に攻撃する勇は間一髪でかわしながら

 片倉殿尋常じゃないくらい速いさすが父上の教えを受けていただけある。

 攻撃をかわされた片倉も


 さすが師匠の息子殿、相当の腕前だ


 片倉と勇の激闘は二時間にも及んだ末片倉が勝った。


 勇は黙って木刀を縁側に置き座った。


「片倉殿」


「はい」


「片倉殿も縁側に座って少し話をしませんか」


「はい」


「私は片倉殿を恨んだことなど一度もありません」


 片倉は勇の言葉に驚いて


「えっ!なぜですか⁉」


「父上は常々言っていたんです」


 

回想


「俺が武術を教えている片倉は絶対に日の本一の武将になる」


「片倉殿という方はそんなに凄い方なんですか?」


 疾風は楽しみな事にワクワクする少年のような表情で


「もの凄いぞ、あんなに人としても武士としても立派な奴はいない、いつかあいつと本気で戦うのが俺の夢だからな」


 回想終わり



 片倉は疾風が言ってくれていた言葉がとてもうれしくて少し目を潤ませながら


「師匠はそんなことを言ってくださっていたんですか?」


「はい、だから私は片倉殿が父上を討っても恨むことはなかった。父は夢が叶ったのだから幸せな最期だと思いましたから」


 勇の言葉に思わず涙が溢れ出す片倉に勇は笑顔で


「今日、片倉殿と手合わせして父上が認めていたことが改めてわかりましたよ」


 勇は真剣な表情で


「私は父の事を尊敬しています。だから私はもっと強くなりたい」


 勇は片倉の前で膝を地面に付き頭を下げながら


「片倉殿、私を弟子にしてください」


 勇の発言内容に片倉は驚きながら


「えっ!えっ‼取り合えず頭上げてください」


「片倉さんが私を弟子にして下さらない限り頭を上げません」


 片倉は少し慌てながら


「私なんか、弟子を取れるほど立派な人間じゃないです」


「片倉殿は立派です‼」


 強く言い切る勇に片倉は圧倒されすぐに言葉が出なった。


「片倉殿、お願いします」


 片倉は覚悟を決め


「私は勇殿に武術はお教えしますが弟子というのは無理です。勇殿とは対等な関係でいたいのです」


「対等?」


「はい、私達は対等の関係でいたいです。お願いします」


「しかし」


 片倉は勇に頭を下げながら


「ここはお願いします。私の願いを受け入れてください」


 勇は片倉の願いを受け入れて


「はい、わかりました」



 その後二人で談笑していると


「勇殿、片倉さんご飯ができたそうですよ」


 凛の言葉に海老太郎も続けて大きな声で


「あったかいうちに食べましょうよ。うまそうですよ」


 片倉と勇は声を揃えて


「わかりました。すぐに行きます」


 声が揃った片倉と勇は驚いてお互いを見つめあった。


 凛は笑顔で


「声が揃うなんてよほど仲良くなられたんですね」


 海老太郎も笑顔で


「いいですね、友情ですね」


 片倉は笑顔で勇の肩に腕を回して


「まぁ、一戦交えた男達には友情が芽生えたんだよ」


 勇も笑顔で


「まぁ、そうだね。俺達仲良しになりましたから」


 凛と海老太郎は二人の関係を微笑ましく思い暖かい目で見守っていた。


 片倉は歩きながら


「勇殿、お酒は飲める方ですか?」


 勇は笑顔で


「飲めますよ、お酒好きですから」


「やっぱり、私達気が合いますね」


「今宵は飲みまくりましょう。片倉殿」


「はい、もちろんです。勇殿」


 少し前を歩いている凛と海老太郎


 凛はとても嬉しそうに


「ねぇ、あの二人本当の兄弟みたいだね」


「ホントだね、仲良きことは楽しいかなですね」


 凛はクスクスと笑いながら


「それを言うなら美しきかなだよ」


 海老太郎はハッとした感じで


「そっか、勉強になった。ひびせいちょうだね」


 凛も笑顔で


「そうだね、日々成長だね」


 こうして片倉と勇は仲を深めたのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ