ターニングポイント 第126話元木
北ノ庄城の元木は豊影軍に勤勉達が戦でぼろ負けし城を大軍に囲まれているとの情報を聞いて
やられた、豊影に完全にやられた。このままじゃ勤勉と大和の命が危ない
元木は絶対服従で領地も三分の二、豊影殿に差し上げるから和睦をしてください。との内容の手紙を豊影に送ったが豊影は軽く目を通して破り捨てたのであった。
豊影が和睦をしないとわかった元木は
「殿、どこへ行くおつもりですか?」
「ちょっと、長浜城まで行って来る」
「殿、この積雪の中行ったら死にますよ」
元木は強い口調で
「大丈夫だ。絶対に死なない!何としても二人に伝えなきゃいけない事があるから」
元木は物凄い積雪している道を命懸けで通って長浜城に着いたのであった。
勤勉と大和は元木が全身雪まみれで来たことに物凄く驚きすぐに風呂に入れた後
「元木殿、どうされたんですか?」
元木は勤勉の質問に真剣な表情で
「勤勉殿、大和殿お主達は豊影軍に付いてくれないか」
勤勉と大和は元木の発言に驚き声を合わせて
「元木殿、何を言っておられるのですか‼」
「この戦、もう儂の負けだ!」
負けることを感じていた勤勉と大和は元木に何も言葉を返せない
元木は二人の肩を叩いて
「君たちはまだ若い、未来がある。こんなところで死ぬべきではない」
勤勉は強い口調で
「しかし、元木殿を裏切ってまで生きるなど武士として恥以外でも何でもない」
元木は勤勉の言葉を聞いてフフッと笑って
「若いな。勤勉殿」
勤勉は元木の言葉にムッとしながら
「はい?」
「俺はこのまま豊影の暴走を止めずにいる方が十分武士として恥だと思うが」
元木の言葉に二人はハッとする。
「わかったなら、豊影の方に付いてくれ」
そう言って元木は去って行った。
勤勉と大和はその日のうちに豊影に降伏し豊影軍に付いたのであった。
勤勉と大和の二人は豊影の前に行き
「豊影殿、我らは本日をもって元木を見限り豊影殿にお味方しとうございます」
豊影は伊藤に耳打ちで
「どうする、こいつら許すか?それとも殺すか?」
豊影の横で二人を見ていた伊藤は
こいつらの目はまだ死んでない。いつかこいつらが俺のために必要な火種になる、こいつらは生かしておこう
伊藤は豊影の耳元で
「殿はこれから天下人になるお方ここで殺せば敵対する者が毎回徹底的に抵抗するでしょう。しかしここで許せば敵対勢力が戦わずして降伏する者も出て来ると思うので生かしておきましょう」
「なるほど、じゃあ許すか」
豊影は偉そうな態度で二人に
「わかった、お前達を許す」
そして雪が解けた三月末
豊影軍は元木攻めのため出陣していた。
「殿、ここで大内と琵琶の忠誠心を試しましょう」
「忠誠心を試す?どうやって」
「元木征伐の先鋒を奴らにやらせるんです」
「なるほど、わかった」
豊影は勤勉と大和を呼び寄せて
「お前達に元木攻めの先鋒を任せる」
「えっ!」
絶句する二人に豊影は低く威圧する声で
「お前ら、俺に忠誠を誓ったんじゃないのか?」
二人は覚悟を決め声を合わせて
「先鋒、我らにお任せください」
豊影は笑顔で
「そうだよな」
豊影の笑顔を見て二人は悔しさで体中を震わせながら
いつか、絶対にお前の暴走を俺達が止めるからな
北ノ庄城では
「殿、勤勉と大和を先鋒として豊影軍が攻めて来ます」
「わかった、皆を広間に集めてくれ」
「はい」
元木は集まった家来達に
「今日まで、元木家に仕えてくれてありがとう。心から礼を言う」
元木は家来達に頭を下げた。
「ここまで仕えてくれたんだ。皆今なら逃げられるぞ」
元木の言葉を聞いてもその場を立ち去ろうとする者は一人もいない。
「どうした、このままここにいても城を枕に死ぬだけだぞ」
家来の一人が立ち上がって強い口調で
「我は殿を見捨てて逃げる事など出来ませぬ」
この一言で他の家来達も
「我も、我も」
と続いた。
元木は嬉しさで泣きそうになりながら涙を堪えて笑顔で
「お前ら、ほんまもんのバカだな」
「はい‼」
「今日は最後の宴だ!皆思う存分飲んで騒ごうぜ」
「おう!」
元木家では宴が行われた。その宴は皆で陽気に歌ったり踊ったりしてまるで戦勝祝いの様だった。
そして翌日豊影軍の先鋒勤勉と大和は北ノ庄城に火を放ち北ノ庄城を炎上させたのであった。
燃え盛る炎の中
元木は頼みましたぞ、勤勉殿、大和殿
切腹したのであった。
燃え盛る北ノ庄城を勤勉と大和は見つめ涙を堪えながら
元木殿、必ず豊影の暴走を止めて見せます
伊藤は豊影に
「殿、これで殿は萬崎家を確実に乗っ取りましたね」
豊影は笑顔で
「お前のおかげだな」
「いえ、そんなことは」
二人は固い握手を交わし勝利に浮かれ、大笑いしあったのであった。




