ターニングポイント第123話 変後
松本和彦は
「おい、誰か萬崎の首は取ったか⁉」
「殿、萬崎の首を持っている者が」
松本和彦の前に松本軍の兵の甲冑を着て萬崎の首を持った琵琶大和が姿を現した。
大和は和彦の前に膝をついて
「お屋形様、萬崎を討ち取りました」
大和から萬崎の首を受け取った和彦はよく確認してから
「お、確かにこれは萬崎の首だ‼お主よくやった!褒美は好きなだけくれてやる」
「はっ、ありがたき幸せ」
これで、俺は父上を超えたんだ‼
和彦はそう思い天に向かって拳を突きつけたのであった。
和彦は早速鈴谷軍と対峙している豊影に萬崎を討ったことを手紙で知らせた。
「よし、よくやった松本!」
「殿、事が思い通りに進みましたね」
豊影はニヤッとしながら
「さすが、伊藤の策は完璧だ!」
「殿、後は殿が日の本一の英雄になるだけですよ」
「そうだな、楽しみだな」
豊影は上機嫌で大笑いしたのであった。
豊影軍は有利に戦っていた鈴谷軍に速やかに和睦を申し入れ陣を引き払いそして京都に向かった。
豊影軍が陣を引き払って、数時間後に鈴谷軍の元にも萬崎が本能寺で死んだことが伝わったが後の祭りだったのである。
「皆の者!我が殿が松本和彦に討たれた!必ずや殿の仇を討つぞ‼」
豊影軍は物凄い勢いで突っ走って行く
その頃、京都見物をしていた士郎達の元に
大和の家来と名乗る者が現れた。
「天羽殿、私は琵琶大和の家来宗助と言う者でございます」
警戒する経丸に稲荷は耳元で
「あの者は確かに琵琶大和殿の家来です」
経丸は大和の家来に頭を下げながら
「わざわざ、伝えに来てくださったのに警戒してすみません」
「いや、警戒するのは当然の事なので気にしないでください」
「ところでどうして我らの元に来られたのですか?」
宗助は真剣な表情で
「申し上げます、本能寺にて萬崎殿は松本和彦に討ち取られました」
経丸の横にいた士郎は大声で
「何!魔王が松本和彦に討たれた‼」
驚く士郎とは対照的に経丸はか弱く震える声で
「その情報は、本当ですか」
「はい、本当です」
へなへなと座り込む経丸を片倉は優しく支え
「殿、しっかりしてください!落ち込むのは今する事じゃないです。我々のすることは大多喜に帰って戦支度をして萬崎殿の仇を討つことですよ‼」
片倉の言葉に経丸はハッ!として
「そうですね。必ず私達が萬崎殿の仇を討ちましょう‼」
「おー!」
皆で気合を入れた後宗助が
「天羽殿、水を差すようで申し訳ないですが萬崎殿が死んで無法地帯になったここ京都で天羽殿達は指名手配にかけられております」
「大多喜に帰るのも命懸けということですか」
「はい、そうです」
経丸は強い口調で
「でも、大丈夫です。私達天羽家は皆生きることに強い覚悟を持っていますから」
士郎は経丸の肩を叩いて
「よく言った、経丸。それでこそ、それがしらの殿だ」
士郎は皆に向かって
「皆、円陣組もうぜ」
「片倉さん、いつもの頼みます」
「いつもの事じゃないし!大漏らしたの初めてだから‼」
片倉の士郎、誇張物まねを皆笑った。
「ふざけんな!たまにはそれがしのカッコいいのをやれよ!」
と片倉の頭をツッコミではたいて皆笑った。
経丸は気合を入れて
「大多喜―!」
「魂‼」
士郎達は稲荷の道案内で山道を行くと
「経丸、野武士がそれがし達を囲んでいるぜ」
「とりあえず、斬り捨てますか」
士郎達は次々と襲い掛かって来る野武士達を切り捨てながら大多喜城に無事着いたのであった。
安土城を攻めていた松本軍の元に
「お屋形様、大変です。豊影軍が我らに向かって来ております」
和彦は家来の言葉に驚き
「はぁ?何を言っておるのだ。豊影殿は我らの味方ぞ!」
「豊影はお屋形様を謀反人だと言いふらし萬崎の仇を討つと言って兵を集めて我らに向かって来ております」
和彦は軍配を地面に叩きつけて
「豊影、我を謀りおったな‼」
「今すぐ、豊影軍を迎え撃つ準備をしろ」
松本軍は天王山で豊影軍を迎え撃つこととなった。
「おい、敵の兵力は」
「豊影の軍は五万に膨れ上がっております」
和彦は慌てて
「我らは一万二千しかおらんぞ」
動揺する松本軍に対して
「殿、ここで勝てば英雄ですぞ」
豊影はニヤッと笑って
「伊藤、この戦楽勝だな」
動揺している松本軍一万二千の軍勢と余裕のある豊影軍五万の軍勢の戦いの結果は火を見るよりも明らかだった。
豊影軍は圧勝し松本和彦は敗走している途中で豊影を恨みながら切腹したのであった。
「これで、俺が日の本一の英雄になれたんだな」
「そうです。殿こそが日の本一の英雄です」
豊影と伊藤の二人は大笑いしたのであった。
豊影を中心に乱世は動き出していくのである。




