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嘘(きみ)と僕の約束  作者: Roman
12/13

11話「エデンとカレンの約束」

4月24日

.

今日はバイトが休みで、エデンとらいが好きなロックバンドの他のアルバム買って来て、ずっと

聴いてた。

もう夕方だけど、今も部屋で流しながら日記書いてるよ。

(17歳のアルバイトで新品を一気に買うのは厳しい……から、とりあえず中古で2つ買った!)


1曲目を聴いてたら、エデンのクラスメイトの姿が浮かんで来たよ!

……学校の仲間たち、かぁ。

エデンの学校の仲間たちは、きっとみんな頭が良すぎてなのか変わり者も多くて、楽しそうだな。


4曲目は、小さい(東京に来たばかりの)頃の、エデンとノエルの姿が浮かんで来たよ。時間は夜で、2人で留守番する夜みたいな……。

きっと、寂しかっただろうな。


歌を聴いていると、色んな映像が浮かんで来る。表情も動きも見える。

何度も何度も聴くと、その映像の中の人たちに話しかけたり、返事がもらえたりするんだよ。

これでまた、次のエデンの日記も書けそうだ。


私、音楽さえあればなんでもできるのかもね! ……なんちゃって。




後略は、カレンの日記が更新されてた。


「◯◯(V系バンド)と◯◯(V系バンド)のアルバム聴いてる〜 めっちゃ好きな世界観だよお……もっと早く聴けば良かったなあ」

カレンは最近V系の音楽を聴き始めて、色々生活が変わって、楽しくやっている日記だった。


「いつかね、お金貯めて、新品でロリィタを買って、部屋でロリィタを来てアフタヌーンティーを飲みながら音楽流して……発売当日に買って来た、◯◯(某V系雑誌名)を読むが夢なの」

「夢か……最近はね、夢がたくさんあるよ」

「知らない場所って緊張して苦手だけど、行きたい場所もたくさんで来たんだ」

「東京行ってみたいけど、特に、橋?ってところに行ってみたい!」

「でもね、星空が綺麗なところも行ってみたい! どんなところなんだろう……?」

「でもなんでエデンくんは、星空が好きなんだろう? ……とか、色々考えてる(笑)」


……。

カレンがとても幸せそうなのに、少し胸が痛いのは何故だろう。


そんな事を思っていたら、画面がメール受信中に切り替わって、掲示板に書き込みがあった時の、後略プロフ専用の着うた(通知)が鳴った。

カレンからの掲示板の書き込みだった。


「エデンくん! 日記見たよ」

「ノエルくんと一緒にいるって決めて、一緒に東京に行ったんだね。電車の中で読んで、泣いちゃいそうになったよ……本当に弟思いなんだね。エデンくんの日記更新されてると嬉しくなるよ」


嬉しくなって、すぐに返信した。

「カレンの日記も見たよ。東京、きっと来れるよ。橋って呼ばれてるところは原宿だね(笑)でも原宿なら、カレンの好きそうな服もたくさんあるよ」


それから、少し恥ずかしかったけど、好きな場所の事も話した。

「あと……元々、子供の頃に見てた星はいつも綺麗だったんだ。でも6歳の時に家族旅行した夜に見た星空が1番綺麗で、忘れられないんだよね。家族5人揃って見たからかもしれない。親が離婚して東京に来て、気が付いたらつらい時によく思い出してるんだ」


少し後に、また通知が鳴った。

カレンはいつもは返信がゆっくりなタイプなんだけど、今日はすぐに返信が来た。


「やっぱり原宿なんだぁ! いいなぁ……原宿に行くのも夢なんだ。原宿でロリィタ買いたい! 」

「家族で見た星空……そんな事があったんだね。そんなにつらい事があるの?」

「あのね、私、もっと元気になって東京にも色々出掛けられるようになったら、いつか北海道にも行ってみたい」


私もまた、すぐに返信した。

「北海道? どうして?」


一度送ってから続きを打っていたら、またすぐにカレンから返信が来た。


「エデンくんが『今一番行きたいところ』に書いてた好きな景色を、私も見てみたい」

「……星空が綺麗なところ?」

「うん」

カレンは、ダメかなと最後に付け足していた。


そんな事ない。カレンと会えて2人で過ごせるなら、そんな夢みたいな事はない。


「いいよ。いつか綺麗な星空を一緒に見よう」

「本当に?」

「うん。俺もカレンと一緒に見たい」」

「嬉しい。……約束だよ」




ある日偶然、綺麗に撮れた自撮りの写真を誰かに見てもらいたくて、軽い気持ちで性別まで偽って、ネットに投稿した。

そこから、架空の男の子になりきるという、嘘のプロフィールページまで作ってしまった。


嘘の中の世界だけど、私は理想の自分になる事ができた。

聴いた事のない音楽を聴いた。音楽さえあればなんでもできるような気がした。

そこで初めて、友達もできた。その子の幸せを願いたくて力になりたいと本当に思った。


それから初めて、人を好きになる事もわかった。

私、カレンの事が好きなんだ。




わかってるよ。私はエデンじゃない。

約束は守れなくて、気持ちも叶わない事も知ってるよ。

でも、今だけは嘘の中で、少しだけ夢見させてください。


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