討伐訓練開始!
魔物1000体討伐。そもそも魔物がどの位強く、どの程度で倒せるのか見当も付かない健太にとっては、未知数な事であった。
家から約1時間程歩くと、大きな火山が見える場所に着いた。火山の周りでは多くの魔物が戦っていた。
「それじゃ、健太はあそこの魔物たちを1000体討伐してくるんだ。なにかあったら私たちが助けよう。数はミラが数えているから安心して闘うといい」
そう言うとロドは、健太を魔物たちの元へ吹き飛ばした。
「おい、急にとかないだろ」
突如目の前に現れた健太に、魔物たちは一斉に襲いかかってきた。
「えっ、そんな一気には・・・」
炎や水などの魔法や噛み付いてこようとする攻撃が、一斉に来る。健太はそれらを華麗にかわした。
「あれ、動きが遅く見える。しかも風魔法を使って無いのにこんなに飛べるなんて」
健太はとりあえず一体のワニの様な魔物にターゲットを絞り、思いっきり右手を振りかざした。
すると、思いっきり吹き飛んだ。手は痛くない。
「おー!すげぇ、こんな簡単に」
その後健太の周囲にいた魔物を全て討伐すること約5時間、周りには健太とロド、ミラの3人しかいなくなった。
健太はくたくたでその場に倒れ込み、ロドとミラは拍手をしながら健太の元へときた。
「見事だ健太。1日目でこんなに討伐するなんてすごいな」
「な、何体討伐した」
大量の汗をかいていた為、右目だけを開けてミラを見つめる。
「・・・35体・・・」
「しかも1番弱いクラスの魔物だよ」
「1番弱いって・・・、強さの基準って一体何段階あるんだよ」
「5段階さ」
5段階の1番下というのを知った途端、5時間の討伐の疲れに加えまだまだ先は長いという現実により体が重くなった。
「ちなみに、討伐した魔物を食べるとその魔物の能力を使えるようになるんだ。まぁ今回討伐した魔物の能力は殆ど火属性の初級魔法しか使えないがな」
「でも無いよりはあったほうがいい」
空腹と相まって35体の魔物を少しずつ食べていく。牛肉の様な味がして、普通に美味しく食べれた。
「ご馳走様でした」
35体食べ終えると、健太は早速火の魔法を使ってみることにした。
「なぁロド、火の初級魔法ってどんなんだ?」
「そうだな火の塊かな」
「なるほどわかったぞ、とりあえず適当に打ってみるか」
健太は手を上空に向けて、火の塊を繰り出した。結果は、バレーボールほどの塊が一発出ただけだった。
「はっはっはっ、まぁ最初はこんなものだから焦ることは無いさ」
「でも、こんだけ食ったんだからもっと威力があってもいいだろ」
「まぁたくさん食えばいいってもんでも無いからね。そもそものレベルが低いからもっとレベルの高い魔物を食えばその分威力もあがるかもしれないな」
「そうなのか、早く倒して食ってみたいな」
そう言って、3人は家へと帰ることとなった。
残り討伐数965体。
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帰りの道中、ロドはある一つの事を懸念していた。
(やっぱり威力は弱かったか、だがこれから大事な人ができた時に・・・。まぁ、その時はその時だな)
ロドは少し眉間にシワを寄せつつ、健太の事を後ろから見ていた。
そしてそのロドを、健太の隣を並んで歩いていたミラはこっそりと見ていた。