表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/14

まえがき

 もうまもなくに、わたしの死期が差し迫っていることを、先日医師から告げられた。

 あいにくわたしには残り少ない余命を共に過ごす人も、整理すべき財産も持ち合わせていない。短いながらに持て余した時間を、だから、こうして書き物に費やすことにした。

 遺言とか遺書の類ではない。どうせ読む人もいない走り書きの中で、穴に叫ぶように罪を告白しようと考えたのだ。

 わたしはこの一年間、とある少女に恋い焦がれた。まだ身体も充分に成長しきっていない、赤いランドセルがよく似合う彼女を浅ましくも愛し、彼女の人生を狂わせてしまった。罪が露見しなかっただけの犯罪者である。

 ただ一つ弁明するならば、彼女は明確に愛というものを欲していた。もちろん、わたしのような欲にまみれきったそれではなく、家族や、あるいは天上の人から与えられるべき無私にして無償の愛である。わたしは彼女をそう愛そうとした。この通り失敗し、今は独りで死を待つのみであるのだが。

 どうか彼女が、しかるべき人からそのような愛を与えられて生きていることを願うばかりである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ