表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宰色譣美  作者: キヤマ
1/3

第一話、白黒世界は黒に染る1-1

初投稿です。

誤字脱字、文脈が可笑しい等があったら教えて下さい。

僕は色を失った。

それは猫を助けようとして、乗用車の前に飛び出したからだ。撥ねられた時に頭をぶつけたショックで、世界はボヤけ、白黒にしか映らなくなった。


それでも猫は助かり僕の命も助かった。『それで良いではない』かそう思える。


事故以降、僕はメガネをかけるようになった。このメガネは従来のメガネと違いフレームにカメラを取付、映った物コンタクトレンズに投影し見るという物だ。これのおかげで視力矯正では限界だった目にハッキリと物が映るようになった。


そんな白黒で味気無いながらも僕は普通に学生生活を送れている。




放課後


(今日はちょっとだけゲーセンに寄ってから帰ろっかな)


僕の名前は『木山 祐介』

ちょっとだけハンデ持ちの高校生。色が分からなくなったって言っても濃淡は分かるし、その分触覚が敏感になったから寧ろプラスだって思ってる。

趣味は読書とゲーム。

事故前は身体を動かすのが好きだったけど、母さんが心配するから今はインドア派になった。読書が趣味になったのはインドア派になってから、白黒の世界で唯一変わらなかった物が僕の身近になった。


(今日こそはあの子をゲットする!)


胸に誓いながらゲームセンターへと足を進める。



濃い目の黒色の看板が目立つ昭和から続く有名なゲームセンター


「昔は赤く見えたんだよな…」


柄にもなく、センチメンタルな事を呟きながら中に入る。


(目当てのクレーン台ははあっちだったよな)


「あ、あれは!」


クレーン台のガラスに貼られたラストの文字。


「ギリギリセーフだった……これを逃していたら後悔する所だった」


少ないお小遣いを使い景品を獲得した祐介は景品を大切に抱き、軽い足取りで出口へと歩を進める。



家に帰る途中、流行に流された学生達を見かけてしまった。


(あれは、カツアゲ…だよな)


ゲームセンターのすぐ近くにある路地裏で真面目そうな学生が不良に絡まれていた。


流行は繰り返す物、表現が規制される世の中で賛否両論の激しいヤンキーマンガの影響により昭和時代のようなヤンキーに憧れる不良が増えていた。


(無視は出来ないよな…)


「すいません、彼を見逃して上げて下さい」


そんな事を言えばどうなるかは、火を見るよりも明らか。

不良は昭和時代のヤンキーに憧れている…なら次の言葉は


「誰だぁ、てぇめ!邪魔すんじゃねーよ!引っ込んでろ!」


こんなセリフだろう。

唾を吐きながらこんな事を言う、憧れているセリフだ不良ならこのタイミングを逃す奴は居ないだろう。


「それとも何か?お前がこいつの代わりに寄付してくれんのかぁ?」


ヤンキーに憧れているが故、何処か間違っているようなセリフが出てくる。成り気れていないが故なのだろう。


(寄付…お小遣いはもうほとんど無いとなればもう)


「これを…今取ったばかりのこの景品をあげますから!」


「てめぇ…真剣で言ってんのか?真剣ならどうなるか分かってんだろうな」


「何がですか?」


この一言がいけなかった。

頬に走る衝撃。外れたメガネが踏みつけられる。


「っ!痛い、なんで殴るんですか!」


言葉として発する事が出来たのはこれだけだった。

容赦無く降りかかる暴力に言葉は出せなかった。顔に迫る革靴は意識を飛ばすのに充分だった。



(どれくらい意識を失っていたんだろう…)


身体は鈍い痛みを訴えている。幸いにも制服は破けてはいないが、ワイシャツは自身の血で染みだらけになっていた。


「財布は……ある訳ないか

あ!」


地面に落ちている物に驚く。


「お前は、無事だったんだね!」


ぬいぐるみは踏みつけられた跡はあったが、盗られずに置き去りにされていた事を心から喜んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ