美しい夕暮れ
拙作『紅の燠、夕日もろとも』(略称:クレオキ)のラストをイメージして書きました。
タイトルは、ポール・ブルジェの同名の詩に作曲されたクロード・ドビュッシーの曲名から。
すべてが終わり眺める夕日は、
固い覚悟を揺るがすような、これまでの道のりを無に帰すような……
―― それほど美しい光景だった。
この旅で得たもの、
失ったもの ――。
今はただ、ひとつのよすががあればいい。
こんなことになるとは思いもしなかった。
みなそうやって、どこへいくともなく……
ただ、こうなるために生まれてきたのだと、
今は思う。
のこされた宝石を抱えて、ただひとつの永遠の過去となるのだ。――
すべてが終わり眺める夕日は、
私のすべてを火にくべて、静かな波の内側へと誘う。
このまま溶けて……
※ クレオキともども、遥彼方さま主催「紅の秋」企画 参加作品です。