結末・滞
We love myself!
攻めてきた龍の将軍が天女様を見付けると、
『おお これは うつくしい』
『あなたも すてき ね』
にっこり。
傲慢天女様は微笑みました。
龍将軍はきっと自国へ、天女様を連れて帰るでしょう。
隣国の将軍と国王は天女様を取り合うでしょう。
でも天女様には関係ありません。
だってどちらが死のうと生きようと同じこと。
勝利者が、天女様の夫になるのですから。
こうして天女様は住む場所を変えても、雲の上での神々からの叱責なんて、気にも止めずに幸せになってしまいます。
八百万の神々は雲の上で首にかしげました。
どうして、罰したいあの天女はどうやっても幸せになるのだ?
雲の上に住む神々は極楽浄土には行けるほど清廉潔白ではない、かといって地獄へも落とせるほど邪悪でもない転生を望まぬ神々です。
することもない神々は集まり、相談を始めました。
『さて どうしたものか』
『あの天女にも こまったものだ』
『わたしたちの じひを むげにしよって』
『けしからん』
『そうともけしからん』
『次はどうしてくれようか』
『では、こういうのは どうだろうか』
口々に意見を出し合います。
『無視する』
『もうしてる』
『……(陰で会ってたくせに)』
『花にする』
『これ以上?』
『…… ……(褒めてるよな)』
『じゃあ、星』
『古い』
『…… …… ……(全能神をディスってる)』
相談はいつまでも終わりません。
仕方がないではありませんか。
皆、誰かを重く罰する責任を一人で取りたくないのです。
そんな覚悟なんて精神力をすり減るものを背負う程に天女様を愛していないのです。
そんな『この罰は天女の為になる、それで天女に恨まれても良い』なんて慧眼も地上に落としてしまったのです。
『次の会議はそれを話し合おう』
『名案だ!』
『それが良い!』
相談している間に天女様は自力で幸せに暮らしました。
そして決まる前に寿命を全うし、天に召されましたとさ。
Hail Hail!!