結末・華
We love you!
攻めてきた龍の将軍が天女様を見付けると、
『おお これは うつくしい』
『あなたも すてき ね』
王への貢ぎ物にするため、天女様は隣国へ連れて行かれました。
隣国の王様は天女様を見るや否や立ち上がり、龍の将軍にでかした!と自ら御声で話し掛けられました。
龍将軍は恭しく、頭を垂れ、御言葉を頂戴しました。
隣国の王様は側近に叫びます。
『宴の準備をせい!』
『かしこまりましてございます』
天女様は召し使いの案内で別室に連れられ、
まず湯を頂きました。
召し使いは天女様の髪から爪の中まで綺麗に洗い、丁寧に拭き上げました。
それから台に寝そべってよい香りのする油でマッサージです。
粒々した塩が混ざっていて、とても気持ちが良いものです。
召し使いは油をよぉく擦りこんで、天女様はうとうとしている間にぴかぴかになりました。
次は白いクリームを全身に塗ります。天女様の全身がしっとりと、それでいて良い匂いになりました。
『さぁさ、こちらにお乗りくださいませ』
花で作られた大きな円盤に乗せられます。
色とりどりの花が服の代わりに、天女様を一層美しく輝かせました。
運ばれてきた天女様を隣国の王様は、うっとりと熱い視線で見つめました。
『おお、来たか』
『国王様、既に万事 整ってございます』
『うむ。では、そろそろ』
隣国の王様はさっと右手を挙げました。
宴会の会場にいる、召し使いや戦士や官僚は皆 黙ります。
『皆のもの、先な戦ではようやってくれた。
これより先は無礼講じゃ、大いに呑めや歌えや、楽しんでくれい』
おおおおおおおおお!!!!
天女様は驚きました。
割れんばかりの雄叫びに、ではございません。
国王、龍将軍、大臣に華の皿が囲まれたからです。
彼らの目。
ツッ・・・と背中に嫌な汗が走りました。
なんなの?なんなの?
だいじょうぶ。大丈夫。
どうにでもなる。
どうにでもなった。
どうにでもなるはず。
今までのように。
『乾杯!』
かんぱーい!
ばりばり
むしゃむしゃ
ごきばきんっ
『ふぅっ、美しかった』
『いやぁ、美しかったですねぇ』
『龍将軍様はよくあんな美しい娘を連れ帰って下さいましたなぁ』
『そりゃもう道中、涎が止まりませんでしたよ』
『それもお主の忠心が故よな』
当面の食糧も確保出来た、我が国は安泰ぞ。
高らかに隣国の王様は、天女様の血がついた口で笑いました。
delicious!