最終話「伝えること」
金曜日。音葉は、美咲に言われた通りにいつもの駅で、一般の車が停まれるロータリーにで待っていた。
「結局今日は、何の用なのかしら?」
駅で待つこと10分。一台のワゴン車が音葉の目の前に停車し、助手席から美咲が降りてきた。
「ごめん。ごめん。ちょっと遅れちゃった」
両手を合わして謝る。
「それで今日は」
音葉が喋っていると突然、美咲が左手指をパチンと鳴らすとワゴン車の扉がスライドして開いた。その中にいたのは。
「音葉先輩。こんにちわ」
「鈴木君!?」
病院で入院中の俊樹の登場に驚く音葉。
「ささ、乗って乗って」
「ちょ、ちょっと」
半ば強引に音葉を車に押し込んだ。
「ちょっと、聞きたいことがいっぱいあるんだけど!」
「まぁまぁ、そんな怖い顔しないで美咲ちゃん」
「怖い顔!?」
「音葉先輩。目的地に着くまで我慢してて下さい」
「す、鈴木君がそう言うなら」
「ありがとうございます」
「それじゃ、目的地までお願いね」
美咲は、運転席に座る黒スーツにサングラス男にウィンクをして言う。
「お任せください。お嬢様」
車を走らせること約20分。到着したのは、あの日俊樹が自転車で走っていたら、美咲と遭遇した土手がある川だった。車の荷台から車いすを下して黒スーツの男が、俊樹を運んで車いすに座らせる。そのまま、黒スーツの男が車いすを押しその後ろを音葉と美咲が歩く。土手の坂を上りきって今度は、反対側の坂を下り川沿いの平地で車いすを停めた。夏休み期間というのに時間帯が良かったのか、周りには誰もいなかった。
「じゃ、私たち車で待ってるね」
「美咲さん。ありがとう」
美咲と黒スーツの男は、車に戻って行った。
俊樹は、器用に車いすの向きを音葉に向ける。
「音葉先輩」
「は、はい」
「音葉先輩。そんなに驚かないでください」
「ごめんなさい」
二人の横を静かに川が流れる音が聞こえ、鳥の鳴き声が聞こえる。
「あの事故が遭った日に音葉先輩に伝えたかったことを、今日ここで言おうと思います」
音葉は、真っ直ぐ俊樹の目を見て頷く。
「もう、知ってますけど俺は、音葉先輩が好きです。一度は、フラれてもうこの気持ちは、終わりだと思いました。だけど、美咲さんと知り合ってから自然と音葉先輩が会話の中に入ってきたりして、それで音葉先輩と話すことが増えていきました。そこで思いました。俺は、音葉先輩のこともっと知りたいと。今までは、遠目で見ていただけだったので。事故の日。このことを伝えてもし良いよって言ってくれたらここに来るつもりでした。……今の俺は、告白した時と違って音葉先輩のこといっぱい知ってます!だから、俺と付き合ってください!こんなボロボロの姿ですけど、誰よりも貴女のことを大切にする自信があります!」
俊樹の真っ直ぐな気持ちを音葉は、確かに受け止めた。
「初めて鈴木君と会って告白された時は、正直無関心だった。でも、美咲と鈴木君が会話をしてるところを見てから、鈴木君のことが気になったの。だから、話をしてみようと思った。一緒に下校したり、一泊したりしているうちにいつの日から鈴木君のことが気になり始めていた。そして、事故に遭ったあの日本当は、鈴木君に私の気持ちを言うつもりだった」
音葉の言葉に俊樹は。
「そ、それって」
音葉は、俊樹の目線に合わせるかのようにしゃがむ。
「分かってるくせに。……鈴木君の申し出受け取ります。鈴木君。私も貴方が好きです」
音葉は、スーっと目を閉じて俊樹に近づいていく。俊樹も目を瞑る。二人の唇が接触しようとした時。
「お~い。二人とも~!」
土手の上から美咲が二人を呼ぶ。それに反応して音葉が即時に離れる。
「ななな、何ですか美咲さん!」
「今、結愛ちゃんから電話がきたんだけど、病院抜け出したのバレたって!」
「「えぇ~!」」
ハモル二人。
「急いで戻らないと!」
「無断で出て来てたの!?」
「すいません」
「もう……早く戻るよ。私の彼氏さん」
「そうですね。俺の彼女さん」
それから月日が流れて夏休みが明け、今日から学校が再開する。病院を退院した俊樹は、一人で何とか学生服に着替えて鞄を持って松葉杖つく。左足だけに靴を履く。
「行ってきます」
玄関を開けると音葉が待っていた。
「鞄、持つよ」
「ありがとう」
「俊樹、宿題全部やれた?」
「なんとか」
「ゆっくりでいいからね」
「うん。お、音葉」
俊樹の歩調に音葉が寄り添いながら二人は、学校へと向かった。
皆さんこんにちは、@ナイトホークです。
無事に2作目を終えることが出来ました。
毎度のことですが誤字なのがたくさんあって、読みづらいときもあったと思います。すいませんでした。
次回作ですが色々なジャンルを考えております。なので今までとは、ちょっと違うかもしれません。とりあえず今月は、ゆっくりしたいです(笑
次回もたくさんの人に読んでもらえるようにがんばります。
ここまで読んで下さった方、本当にありがとうございました。




