第五話「突然どうして?」
スマホの液晶画面に映し出された神代美咲の文字に俊樹は、動揺した。
「どうした俊樹?」
「これ……」
俊樹は、スマホの画面を一也に見せると。
「お前、あの子と電話番号交換したのか!」
ピクッと町田先輩の額が動いた。
「いや、メアドだけだと思ったら赤外線で送られていたら電話番号付きで」
「そりゃそうだろ」
以前俊樹のスマホは、鳴りつづける。
「てか、早く出ろよ!」
「今このタイミングで!」
俊樹は、町田先輩の顔をチラッと見ると口は、笑っているけど明らかに目は、笑っていなくなんだか殺気を感じさせられる。
「出ないの?」
表情を崩さず低いトーンで聞いてきた。
「で、出ます」
俊樹は、スマホの通話ボタンを震える指で押して右耳に近づける。
「も、もしもし」
『あ~やっと出てくれた。もう遅いぞぉ』
スピーカーから聞こえてくる美咲の声。
「す、すいません」
『何してたのかな』
「えっと友達とパン食べながら話とか」
『それならすぐに電話に出てくれもいいじゃない』
「あ、はい」
美咲との会話中一也は、フェンスにもたれて地面に座り、町田先輩は、以前俊樹を見続けている。
『俊樹君は、今度の土曜日空いてる?』
「え、まぁはい。空いてますけど?」
『それじゃ今度の土曜日に私とデートしましょう』
「で、デートですか!?」
俊樹の口からデートっという言葉が出来た瞬間一也は、食べていたパンを盛大に吹きだした。
『駄目かしら?それとも私とじゃ嫌なのかな?』
「嫌そうじゃなくて突然デートに誘われたのでビックリして」
『そうよねごめんなさい。それでどうかなぁ?』
「えっと……」
俊樹は、一回美咲との会話を中断して考え込む。隣で座り込んでいる一也は、会話の内容が分かっているのかの様に、口パクで行け行けって動いてるのが分かる。俊樹は、決断して声を発する。
「分かりました。行きます」
『本当!?ヤッター。それじゃ細かいことは、後でメールするね。それじゃ」
「あ、はーい」
俊樹は、美咲との通話終了して一つ溜息。
「デート行くのか!?」
「まぁ、そいうことになった」
「良かったな!!」
一也は、俊樹の背中を思いっきり平手打ちした。町田先輩は、俊樹たちに背中を向ける。
「町田先輩!何か俺に用があったんじゃ」
「……今日は、もういいわ。また今度にしましょう」
そう言って町田先輩は、振り返らずに屋上から出て行ってしまった。
「な、何だったんだろう」
「ハッ!もしかして町田先輩。あのお嬢様にお前を取られたと思って嫉妬してたり!!」
俊樹は、一也の後頭部を華麗に叩く。
「んな訳あるか!ほら、教室に戻るぞ~」