第四十三話「麦わら帽子の女性」
「やばい。暇すぎる!そして……暑い!」
音葉と勉強会が行われてからしばらく過ぎた今日この頃。俊樹は、自分の部屋で夏休みの宿題をせずに、ゴロゴロしていた。どこかに出掛けようと考えるが思いつかない。一也にメールで遊ぼうっと送るが返事は、NOだった。理由は、女の子と遊ぶ予定で埋まっているという。
「さすがに音葉先輩を誘うのは……」
スマホで友達の連絡先一覧を見る。そして、ピタッと止まる。
「美咲さんか……」
画面に表示させる美咲の連絡先。
「どうなんだ?う~ん。音葉先輩と同じで忙しそうなイメージがあるけど……」
美咲に電話をしようと画面を押そうとしたが、寸前のところで止めた。
「落ち着け!落ち着け俺よ!……美咲さんを誘うのは、勇気がないと駄目だ!断れたら今日生きていけない」
そこから、しばらく考えた結果。自転車でどこかに行くことに決めた。着替えて肩から斜めに鞄をかけて家を出る。耳にイヤホンを装着してスマホから曲を再生する。自電車に跨りいざ出発。
どれくらいの距離を走っただろう。目的地を決めずにひたすらペダルをこぎ続ける。かれこれ二時間ほど。そして、住宅街を抜けて俊樹の目の前に角度がある土手が現れた。息が切れ始めていた俊樹には、キツイ場面。
「だぁ~。うぉぉぉ」
全力でペダルを漕いで速いスピードで土手を上りきる。
「はぁ、はぁ……」
上りきった先には、川が流れていた。俊樹は、川を横目にゆっくりと自転車を走らせる。心地い風を感じ涼しさわ味わう。
「……ん?」
進む先に土手の斜面で川の方を向いて座って、絵を描いている女性を見つけた。少し大きめの麦わら帽子で顔が見えない。俊樹は、その女性に気が付かれないように後ろで自転車を止めた。身を乗り出して絵を見ると、とてつもなく上手い絵だった。プロなんじゃないかと思うくらいだ。
「絵上手ですね」
あまりの上手さに俊樹は、その女性に声をかけた。
「そんなことないですよ。まだまだですよ」
振り返らずに絵を描きながら答える。
「えぇ~。そのレベルでまだまだですか!?」
「はい。だから、もっと上手になりたいんです」
「へ~。絵の仕事やってる方なんですか?」
「いえ、学生です。絵は、趣味です」
「学生!?しゅ、趣味!?」
俊樹の反応が面白かったのかクスクス笑いだす女性。
「面白い人ですね」
その女性がゆっくりと振り返り俊樹と目が合うと。
「「え?」」
二人は、お互い顔を見て同じ反応した後。
「美咲さん!?」
「俊樹君!?」




