第四十一話「昂り」
時刻6時過ぎ。数学の宿題を終えて今度は、国語の宿題に取り組む俊樹。元々のプリントの枚数が二枚しかなかった、すぐ終わりそうだったため数学終えて国語をやり始めた。そして、この場には、俊樹しかいない。音葉は、英語の宿題を終わってすぐに夜ご飯の準備するべく一階に下りてしまった。俊樹は、自分も手伝うと言ったが断われてしまった。でも、そのおかげで宿題に集中出来た。
「よし!国語も終わった!」
両腕を上にあげて伸びをしてそのまま後ろに倒れる。フカフカなマットの上で横になっていると、全身で感じたくなり横に何度も転がる。ここで音葉が歩いたり横になっていることを想像してしまい、転がるのを停止し次第に顔が熱くなる。
「落ち着け、落ち着け俺~」
不意にドアがノックをされて、急いで態勢を戻す。
「どう?」
少しだけ開けて顔を覗かせる音葉。
「数学と国語終わりました」
それを聞いて部屋に入る。
「凄い!鈴木君って勉強得意なの?」
俊樹の向かい側に座る。
「得意?う~ん。普通ですかね。好きで勉強してはないんで」
「そうなの?見た感じ勉強好きそうだけど?」
「え、そうなんですか!?俺って周りからガリ勉って思われてるのかな……」
「フフフッ。うんうん。そうかもしれないね」
「ちょっと。音葉先輩~」
「フフッ。じゃ、宿題も丁度終わっていいタイミングだったから、ご飯にしましょうか」
「あ、出来たんですか!?なんですか?」
「それは食べるまで秘密」
最後の秘密っという単語の言い方が、なんだか色っぽかった。俊樹は、全ての持ち物を鞄に入れて二人で一階のリビングへ。音葉に椅子に座るように促されて椅子に座る。テーブルに手を置きキッチンで、最後の仕上げをしている音葉を見る。なんだか夫婦みたいと一瞬思った。
「はい。どうぞ」
音葉が作って来たのは、カレーだった。
「わ~。美味そう」
「食べてみて」
俊樹は、スプーンで一口食べてみる。
「うま~~~」
「本当?」
「美味いですよ。本当に」
「辛くない?中辛なんだけど。味とか濃くないかな?」
「俺、中辛好きなんで、味も濃くないですよ」
「良かった~」
緊張していたのかハァっと息が漏れ力が抜ける。
「不味かったらどうしようかなって思ってたから」
「俺好みのカレーですね。いや~。音葉先輩なら良いお嫁さんになるな」
「え?そ、そんな」
「あ、すいません。つい高ぶっちゃって」
「うんん。嬉しい」
顔がボッと熱くなり赤くなる。そして、お互い顔を見て自然と笑いがこみあがってきた。
「あははは。音葉先輩顔が真っ赤ですよ」
「フフッ。鈴木君もよ」
「音葉先輩も食べましょう」
「そうね。食べましょう」




