第四話「屋上にて」
「昨日あのあと何かあったのか?」
「何かって?」
学校の昼休み俊樹と一也は、誰もいない学校の屋上でお互いパンを食べていた。
「カラオケに行くとか、ゲーセンに行くとか」
「普通に駅まで行っただけど」
「お前な……」
「な、なんだよ」
「しょうがない俺が情報教えてやるよ」
そう言って一也は、ポケットからメモ帳を取り出して慣れた手つきで、ぺらぺらめくってピタッとページを止めた。
「いいかよく聞けよ。神代美咲、桜水女子高等学校3年A組。超お嬢様。現生徒会長で部活には、所属していない。外見の容姿から後輩からは、お姉さま、姉さまなど呼ばれている。家族構成は、父45歳、母43歳、兄25歳の四人家族。父親は、IT企業の社長。母親は、専業主婦兼合気道の五段。兄貴の方は、父親の後を継ぐらしい。昨日見た感じからして過保護に育てられたと俺は、推測する。男経験ゼロで社長令嬢箱入り娘だな」
一也は、メモ帳をパタンと閉じた。一也の口から出てきた美咲の情報に俊樹は、あ然。
「お前さどこから仕入れてきてんの?」
「簡単だよ。桜水の生徒に声をかけて聞きだしたんだよ」
「いやいや。簡単じゃないし、てか何してるんだし」
「何ってあんな美人。気になっちゃうじゃん」
「お前な……」
「でも安心しろ俺は、他校の生徒に手を出さないし。それにお嬢様学校の生徒ならなお更だ」
「何かそれを聞くと俺は、女なら誰でもいいみたいに聞こえるんだが」
「気のせいじゃね?ははっ」
「笑うなよ」
快晴の空の下で屋上の上で神代美咲について話し合っていると。屋上のドアがガチャッと開いた。屋上には、昼休みとはいえ生徒は、ほとんど来ないので俊樹と一也は、誰だろうとお互いドアの方に目を向けるとそこには。
「ここにいたのね」
俊樹が告白して失敗した町田先輩だった。
「町田先輩!」
突然現れた町田先輩に大声で驚いた俊樹。
「そんなに驚かなくってもいいじゃない?」
「す、すいません」
「え~っと町田先輩は、何故ここへ?」
一也が町田先輩に訪ねると。
「君に聞きたいことがあって探してたのよ」
町田先輩は、ビシっと俊樹に指をさす。
「お、俺ですか?」
「そう……鈴木君だっけ?」
町田先輩の登場により屋上の空気がなんだか重苦しくなる。
「な、何でしょう……」
「それはね」
町田先輩が言おうとした時に、俊樹のポケットの中のスマホが鳴り響いた。
「すいません」
「いいわよ」
俊樹は、スマホを取り出して画面を確認すると着信相手は、神代美咲だった。