第三十四話「距離感」
夏が本格的になり暑くなる日々。夏休みまであと数週間。俊樹と美咲は、あの返事からというものよくれんだくをしている。返事をする前の中々お互い、れんだくが出来なかったのが嘘のように毎日メールしていた。一方俊樹と音葉の関係は、何も変わらずテニスをしていた音葉に手を振ったあの日以来、校内で見かけるも声をかけたりせず見送る。何回も音葉にメール、電話をしようとしたが直前でやめてしまう。俊樹の心の中では、音葉が好きという気持ちは、変わらないがなんだか今のこの状態の方がいいんじゃないかと思っていた。片思いのように遠くから見ているだけで、いいんじゃないかと。
俊樹は、何度も親友の一也にも相談したが一也は、今のままでいいんじゃないかっと俊樹が考えていたこと一致した。一泊して音葉と少し距離が縮んだと思うが、音葉にフラれている。フラれたのに音葉の傍で仲良くしていいのかと、毎回音葉のことを考えるとそれが引っ掛かる。美咲が言ってたように音葉への想いは、このままだと次第に消える。ここ最近俊樹は、窓の外を見ては、そう思うようになっていた。
放課後。職員室から出てから教室に戻る廊下のことだった。歩いていると階段を友達と降りてきた音葉。俊樹と音葉がすれ違う寸前の所でお互い目があった。が、俊樹から目を逸らしてしまった。その時、音葉は、「えっ」と思った。そのまま歩き去って行く俊樹の背中を音葉は、立ち止まって見ていた。
「……鈴木君」
音葉は、俊樹が目を逸らしたことがとてもショックで怖くなった。もう俊樹は、自分から離れてしまったと感じた




