第三十二話「互いの交差点」
突然教室に現れた美咲に驚きが隠せない俊樹。
「私たち最近タイミングが悪い時が多いからこのままだと嫌だなってだから、思い切って来ちゃいました」
「それならメールぐらいしてもらえば良かったのに」
「駄目っ!俊樹君を驚かせたかったのぉ~」
そう言って教室内に入って来て、中を色々と見た後に俊樹の前来た。
「一人で何してたの?」
手を後ろに回して俊樹を覗き込むように聞いてきた。
「きょ、今日掃除当番でゴミ捨てから戻って来たんです」
「一人で?」
「は、はい。うちのクラスの掃除当番は、一人で一日交代なんで」
「俊樹君偉い!いい子いい子してあげる」
背伸びをして俊樹の頭を撫でる美咲。
「は、恥ずかしいです」
「大丈夫。だって誰もいないんだから」
「そうですけど」
俊樹は、撫でられるのが恥ずかしくなって美咲の手を掴んで止めた。
「どうしたの?」
「このくらいで勘弁してください」
「……掴んでる手。離さないで」
「え?」
「掴んだまま私を引き寄せて」
「な、何言ってるんですか!?そんなこと」
「出来ないの?……それとも私じゃ駄目なの?」
「どうしたんですか美咲。なんか変ですよ」
「そうなの。私変なの」
手を掴まれたまま真っ直ぐ俊樹の目を見て、視線を逸らさない。
「俊樹君のことをずっと考えてて想ってて返事がいつ来るのかなって、着信履歴に俊樹君の名前が出たとき私ドキドキして、すぐに電話しても今度は、俊樹君の方が出なくて」
「……美咲さん」
手を離して美咲の話を真剣に聞く俊樹。
「電話に出ないから私嫌われたんじゃないかって考えるようになって……怖かった。だから、今日直接会いに来たの」
美咲の瞳がキラキラ光っている。
「美咲さん。俺は」
俊樹が言おうとした時美咲は、俊樹の懐に飛び込んでしがみ付く。
「俊樹君。私を選んで。音葉ちゃんじゃなくて私を求めて。私なら貴方をの傍にいて、支えられる自信がある!」
俊樹は、美咲の両肩を掴んで少し離す。美咲は、俊樹の首に自分の両腕絡ませまた、少しだけ背伸び。
「……返事は」




