第三十一話「いつの間に」
午後の授業。5時間目が始まった。授業は、数学。俊樹は、黒板に書かれた公式をノートに写す。先生が写し終えたか確認をして黒板消しで消し、教科書から問題を黒板に書いて解くように指示する。問題を解くのに集中になり教室には、書く音が聞こえる。
「……」
俊樹は、問題を5分ほどで解き終えてしまって暇になる。なんとなく窓の外を見るとテニスをしていた。人数を見るとあまりいないおそらく選択授業だろ。中でも音葉だけがずば抜けて上手い。素人の俊樹が見ていても分かる音葉のテニスの実力。テニスの経験があるなら分かるが、全くないなら凄いとしか言えないほど。
音葉のサーブが決まりその試合が終わり、別の生徒が入れ替わりコートの外に出て汗を拭く音葉。風が吹いて長い髪が横になびき風を感じている。
「!!」
音葉が俊樹に気がついて小さく手を上げて微笑む。俊樹も小さく手を上げて応えた。その時。
「鈴木!」
俊樹は、いつの間にか背後に立っていた先生に気がつかず強みにチョップをくらう。
「お前は、三年生の授業が気になるのかぁ?」
「い、いえ」
「じゃ、黒板の問題答えてみろ」
席を立って黒板の問題スラスラと解く俊樹だった。
今日も一日学校が終わる。放課後、掃除当番の俊樹は、教室の掃除をしていた。時間が過ぎていくにつれて生徒の人数が減っていく。ゴミ出しに行って戻ってきた時には教室には、誰もいなく廊下に一人もいなかった。
「さて帰ろうかな」
鞄に荷物をまとめていた。
「ここが俊樹君の教室ね」
聞き覚えのある声がして振り返ると、教室の入り口に美咲が立っていた。
「え、美咲さん!?どうしてここに」
「俊樹君に会いに来たのよ」




