第二十七話「一泊二日 11」
「ただいま~」
玄関を開けて散歩から帰って来た美咲。さっきまで元気がなかったのが嘘のように今度は、何かいいことがあったかウキウキだ。
「あれ、鈴木君は?」
美咲が帰って来た声を聴いた音葉が部屋から出てきた。その後ろに結愛がいた。二人がいなかった間に来たのだろう。
「すぐ来ると思うよぉ」
美咲は、靴を脱いで部屋に行ってしまった。美咲が帰って来てから数分後。俊樹が戻って来た。が、今度は、俊樹が元気がない様子。いや、何かを考えてるようにも見えた。
「お帰りなさい」
「お帰り~」
音葉と結愛が声をかけると。
「あ、ただいま。お、結愛」
「何その反応~。兄さんたち何時に帰るの?」
「……え、あぁ。これから決めるよ」
部屋に戻る俊樹の後をくっ付く結愛。散歩に行く前と後の俊樹と美咲の明らかな違いに音葉は、心配と疑問が心の中で巡っていた。
「……一体何が」
一時。荷物をまとめ帰る支度をする三人。結愛がまだ早いよと滞在を長くしようとしていたが、俊樹が駄目と何かも言って諦めた。佳苗がタクシーを頼んでくれて家の前でタクシーが停まっている。元々そんなに荷物がなかったのですぐだった。タクシーのトランクに荷物を入れる。
「とても楽しかったです」
佳苗に一礼する音葉。
「またおいで三人で」
「結愛ちゃん。私負けないからね」
「随分自信があるみたいですけどこっちだって負けないですよ」
クスクス笑いあう美咲と結愛。
「お姉さん。結愛。また」
タクシーに乗り込む。助手席に俊樹。後部座席に音葉と美咲。窓を叩く結愛。ボタンを押して開ける俊樹。
「どうした?」
「今度は、一人で来てね」
フッと鼻で笑って結愛の額に指でデコピンして頭を撫でる。
「またな。お願いします」
タクシーが発進して結愛は、視界からいなくなるまで見届けた。
「次来るのは、三人……は、難しいのかな。ねぇ、トシちゃん」
電車に乗って寄り添って三人が座る。他の乗客はいない貸切状態。疲れたのか俊樹と音葉は、眠ってしまっている。
「……俊樹君。早く返事教えてね」
美咲は、小さな声で呟いて眠っている俊樹の頬にキスをした。俊樹の右側に座る音葉は、俊樹の右手を握りしめていた。




