第二十六話「一泊二日 10」
家を出てから10分。二人の間に会話が始まらない。俊樹が話をかけようと後ろを歩く美咲に振り返ると美咲は、顔を横に背ける。これを何かも続く。
「魚がいますよ」
橋を渡っている途中で俊樹が橋の下を流れる川見て言う。俊樹が言うように川に何魚か分からないが魚がいることが確認できる。
「どこどこ」
沈黙だった美咲も橋から身を乗り出して見る。
「あ、危ないですよ」
俊樹は、素早く美咲の身体を両手で支える。美咲に触れた瞬間。
「さ、触らないで!」
俊樹の手を振りほどいて離れる。
「あ、ご、ごめんなさい。つい」
「い、いえ……」
二人の間になんだか気まずい空気が流れる。
「み、美咲さん。今日どうしたんですか?なんか変ですよ」
「……」
「悩み事ですか?」
「……」
「それともこの一泊二日つまらなかったですか?」
「そんなことないよ!」
美咲の大声に驚いた俊樹。
「じゃ、じゃあどうしてですか?」
「そ、それは……」
中々言わない美咲に少し苛立つ俊樹。
「はぁ、そんなに言えないならいいですよ。人は、言えない事情もありますからね」
俯いてしまった美咲。イライラしてつい強めに言ってしまった。そんな自分にさらにイライラしてしまう。
「そろそろ戻りましょ。音葉先輩たち待ってると思いますし、結愛も来てると思いますから」
さっき強めに言ってしまったことを謝りたい俊樹は、そう想っているのに言えない何故なのか分からない。歩いて美咲の横を通り過ぎる。橋を渡り切ってら謝ろう俊樹は、決めていた。すると、後ろからこっち向かって走って来る足音がする。刹那、俊樹は、背後から抱き着かれた。
「な!ちょっと!美咲さん!?」
「振り返らないで!見ないで!」
「あ、あの。さっきは」
「何も言わないで……このままでいて」
「し、しかし」
「お願い少しの間でいいから」
俊樹は、抱き着かれたまま端に移動する。
「さっきは、ごめんなさい。言えなくて」
「いえ、謝るのは」
「……俊樹君。これから話すから黙って聞いててくれる?」
「わ、分かりました」
少し間をあけてから美咲の口が開いた。
「……私ね。俊樹君のことが好き。貴方に恋してます。だから、貴方が私が以外の女の子、音葉ちゃんとかお話してるとヤキモチしちゃうんです。嫉妬です。きっと初めて会った時から好きだったと思う。今まで気が付いてなかっただけ……」
美咲は、俊樹から離れて前に回り込む。俊樹の顔を両手で包み込むように触り、首に手を回す。美咲からいい香りが鼻孔をくすぐる。自然に背伸びになる。
「ねぇ。俊樹君。音葉ちゃんより私のこと好きなってくれる?もっと私のこと見て、傍にいてくれる?」
女として俊樹を求める美咲。その瞳をずっと見てると引き込まれそうで俊樹は、今までに感じたことない感情を感じていた。
「俺は……」




