第二十五話「一泊二日 9」
「今日何時に帰りましょうか」
朝食のメニューは、鮭の塩焼き、お味噌汁薄味、シーザーサラダ、白米ひとめぼれ使用。音葉、俊樹、美咲の順で座り向かいに佳苗が座っている。朝食をで食べながら俊樹が音葉に聞く。
「お昼までいれば?」
サラダを食べながら佳苗が提案する。
「いいんですか?」
「何時でもいいけど」
「そうします?」
「鈴木君に任せるわ」
隣に座る美咲に聞く。
「美咲さんは?」
「え、何?」
「今日お昼ぐらいまでいるっていう」
「あ、うん。そうですね」
箸が止まり下を向き元気なさそうだ。
「どうかしましたか?」
「え?」
音葉が心配そうに美咲に声をかける。
「もしかしてご飯不味かった?」
「うんん。そんなことないよ」
「じゃあ、どうしてそんなに元気ないの?」
「……」
喋らなくなってしまう。
「そういえば、誰かこれ食べた?」
佳苗が三人に一枚の包み紙を見せた。
「あ!それ昨日の夜俺が食べました」
俊樹は、包み紙を見て自分が食べたと主張した。
「食べてそのあとは?」
「それが、食べた後記憶がなくて気が付いたら布団で寝てました」
「ふ~ん」
佳苗は、音葉と美咲の顔を見る。音葉は、右を美咲は左を見ている。佳苗は、何かあったとすぐに気が付いたが、それ以上聞かなかった。
10時になった。
「音葉先輩」
「何?」
「美咲元気がないんでちょっと二人で散歩行って来ていいですか?」
朝食が済んでからも美咲の様子が変わらないので、心配になった俊樹が音葉に相談した。
「そうね。何かに悩んでるかもしれないしその時は、聞いてあげなさい」
「俺ですか!?悩んでるなら音葉先輩の方がいいんじゃないんですか?女性同士ですし」
少し背伸びをしてチョップをする。
「コラ。悩み事を聞いてくれる男の子なんか少ないんだから、私より鈴木君の方がいいに決まってるでしょ」
「そうですか」
「そうよ。ほら、誘ってきなさい」
庭に一人でポツンっと空を見ながらベンチに座っている。俊樹が傍に行っても気が付いていない様子。右肩を掴んで揺さぶると。
「と、俊樹君!」
「ビックリしました?ボーっとしてましたよ」
「な、何か用?」
「ちょっと、一緒に散歩しませんか?」
スッと立ち上がり俊樹との距離を少しあける。
「え、え、二人で?音葉ちゃんは?」
「音葉先輩は、いいみたいで。行きますか二人で」
「ふ、ふた、二人でさ、散歩」
美咲は、俊樹と二人っということに敏感に反応し少しづつ顔が赤くなり始めた。
「だ、大丈夫ですか!?顔赤いですよ」
俊樹は、すかさず美咲に近づき額に触れる。
「熱じゃないですね」
「て、手をどけて」
「あ、すいません。散歩止めときますか」
美咲は、ブンブンっと首を横に振る。
「行く!行きたい!俊樹君と二人っきりで!」
美咲の勢いが凄かったので一歩後ろに下がった。
「そ、そうですか。じゃぁ行きますか」
二人は、そのまま家から出て歩く。俊樹の後ろを二歩離れて美咲が俊樹の背中をじーっと見続けながら歩く。




