第二十一話「一泊二日 5」
「結愛じゃん!」
俊樹に声をかけた女店員。
「何でこっちに来てるの!?」
「お姉さんの所に先輩たちと泊まりに来てるんだよ」
「そうなんだ」
会話をしながら商品をピッピッとバーコードリーダーに読み込ませる。合計の金額を俊樹に提示する。
「兄さん。私あと少しでバイト終わるから待ってて」
「あぁ。いいよ」
俊樹は、会計を済ませて外に出る。そして、コンビニの隅の方でスマホを操作して結愛を待つ。それから、15分後。
「お待たせ」
コンビニの服装から私服へ着替えて来た。
「このままそっちに行っていい?」
「いいけど、お母さんに言ったか?」
「後でするから」
「おいおい」
「ただいま~」
玄関を開けた俊樹。その後ろに結愛が立っている。
「おかえりなさい」
「おかえり~」
音葉と美咲は、俊樹の後ろに誰かが立っていることにすぐ気が付いた。
「紹介します」
俊樹は、結愛を自分の前に移動させる。
「この近くに住んでて小さい頃よく遊んでた。三好 結愛です。年は、俺の一個下です」
「結愛です。よろしく。兄さんがお世話になってます」
小さくお辞儀する結愛。
「こいつ、俺のこと兄さんって呼ぶんで。話したいことあると思うから中に入ろう」
二人は、靴を脱いで部屋に移動する。今日三人が使っている部屋に結愛が入り、座る。
「飲み物買ってきたからコップ取ってきますね」
俊樹が抜けて三人になる。
「まだ、名前言ってなかったね。私は、鈴木君と同じ学校で三年の町田 音葉」
「私は、二人と違う学校で三年の神代 美咲です」
結愛は、二人の顔を交互に見て。
「あの……もしかしてどちらか、兄さんと付き合ってます?」
真剣な顔をして聞く結愛。
「えっえっ?」
困る音葉。
「ううん」
首を横に振る美咲。
「違うんですね。良かった~」
付き合っていないことを確認して安堵する結愛。
「結愛ちゃんは、俊樹君が好きなの?」
「はい。恋愛的な意味で言うと中学生からですね」
「そうなんだ」
「美咲さん……兄さんのこと下の名前で呼ぶんですね」
「そうよ」
「もしかして、兄さんのこと好きですか?」
再び真剣な顔をして美咲に聞く。すると、いつもとはなんだか違う雰囲気が美咲から感じる。横にいる音葉も感じ取っている。
「どうなんだろ……私恋愛したことないから人を好きになるってことがいまいち分からない。でも、そうだね……俊樹君の傍にいると楽しい、落ち着くし一緒に居たいって思うの。もし、俊樹君が未来の旦那さんになったらいいな」
美咲の言葉に音葉は、胸の奥が苦しくなりズキンっと痛みも走った。一方それを聞いた結愛は。
「……分かりました。美咲さんは、ライバルです!」




