第十七話「一泊二日」
土曜日。今日から音葉と美咲の三人で祖母の家に泊まる日。祖母に電話したら何の問題なく許可してくれた。むしろ行くことにかなり喜んでいた。俊樹は、待ち合わせの駅の改札駅で待っていた。待ち合わせの時間は、1時だが30分前から来ている俊樹。遅れないようにと早めに出たら早めに来てしまっていた。とりあえず自動販売機でお茶を購入して飲む。6月中旬だがとても気温が暑く28℃。額から汗がこぼれる。
「あ、暑い」
ポケットからハンカチを取り出して汗を拭く。
12時45分になった。電車が到着したらしく人が改札口を通って行く。その中に音葉がいることに俊樹は、発見した。改札口を出た音葉は、左右を見る。
「音葉先輩!」
俊樹が呼ぶと音葉が気が付いて俊樹の元に来る。今日の音葉の服装は、シンプルに白いワンピース。長い髪をポニーテールに首元にキラキラ光るネックレス。香水をつけているのかいい匂いがする。鞄を地面に置く。
「鈴木君早いね。私が一番かと思ってたのに」
「家にいても暇なんで。今日の服装イイですね」
「ありがとう。今日暑いからワンピースにしてみたの。早かったかな?」
「そんなことないですよ」
「そう?ならいいんだけど」
音葉が到着してから5分後の12時50分。駅の階段から美咲が上がって来た。美咲は、俊樹と音葉を発見したら手を振りながら小走りで来た。美咲の服装というと水色のワンピース。首には、黄色いサマーストール。右耳にピアス。サラサラな黒髪が太陽の光を反射しているように光って見える。さすがお嬢様といった感じだ。音葉と同じように鞄を置いて、ふぅーっと息を吐く。
「遅れてない?」
「大丈夫ですよ。今日は、車ですか?」
「お父さんに送ってもらったの」
「ですよね」
「音葉ちゃん。服可愛い」
「美咲の方が可愛いじゃない」
「そんなことないよ。ねぇ、俊樹君は、どっちが可愛い?」
「えぇ!」
戸惑う俊樹に二人が詰め合う。その結果二人の胸元から谷間が見えてしまう。
「いや、ちょっと。そんなに寄って来ないでください」
「どうして鈴木君?」
「答えて答えて」
「あぁ~。もう行きますよ!」
俊樹は、耐えられなくなり二人の間を抜けて行く。
「待ちなさい鈴木君!」
「あわあわ」
鞄を持って俊樹の後を急いで追う音葉と美咲だった。