第十二話「突然介入」
クレープを食べ終えた二人は、駅へと歩きはじめる。時々音葉がお店に入ったりと一緒に買い物をする。
「音葉先輩は、帰りにこんな風に買い物したりするんですね」
「意外だったの?」
「えぇ、学校終わったらすぐに家に帰るイメージがありましたんで」
「ふ~ん。でも、帰りに買い物したりは、あんまりしないね。今日は、なんだか特別な感じがしたから」
「特別ですか……」
「そうよ」
あちこちお店で買い物をしたので音葉の両手は、買い物袋で塞がっている。
「持ちますよ」
俊樹が手を差し出す。
「いいわよ」
「いえ、持ちますよ」
「そう?ありがとう」
音葉は、両手の買い物袋を俊樹に渡す。受け取ろうとした時お互いの手が触れて、持っていたのがすべて地面に落としてしまう。
「ごめんなさい」
「いえ、こちらこそ」
二人は、落としてしまった袋を集めるがコツンっとまた、お互いの手と手が触れ合ってしまう。しかし、今度は、手と手が触れ合った状態を維持したまま二人は、見つめ合う。俊樹は、耳が音葉は、頬を赤くなる。
「また、触っちゃったね」
「そ、そうでね」
お互い一言言い目を横に逸らして触れていた手と手を離して、買い物袋を集めて俊樹が全て手に持って駅へと向かう。
『やべ~先輩超可愛いかったんだけど』
『……鈴木君。耳赤かったな』
駅前広場に到着して俊樹は、再び買い物袋音葉に戻した。戻すときまた、手が触れ合わないようにして慎重に渡した。
「今日は、色々付きあわせちゃったりしてごめんなさい」
「気にしないでください」
「それと鈴木君のこと誤解してごめんなさい」
「謝らなくっていいですって。そのことは、話してなかったんですから」
音葉が俊樹にまた、謝っていた時だった。
「あ!俊樹君だぁ」
「うわ!神代さん」
俊樹の後ろから美咲が突如現れた。
「あぁ~!名前で呼んでよぉ」
「……美咲さん」
「良く出来ました。いい子いい子」
背伸びをして俊樹の頭をなでなでする。
「ん?この人は?」
美咲は、俊樹に聞く。
「あ、紹介します。こちら、俺と同じ学校で三年生の町田先輩です」
俊樹は、音葉の顔を見ると凄い目つきで美咲を見ている。
「音……町田先輩。この人がこの間の」
一瞬、音葉先輩と言いそうになった俊樹。そう呼んでいいのは、二人の時だけと言われてることに思い出したからだ。
「お嬢様学校に通ってる人ね?」
「は、はいそうです」
「そんな怖い顔しないでください。私たち同い年じゃないですか」
「……」
「えーっと。私は、桜水に通う神代美咲です。お見知りおきください」
美咲は、俊樹に自己紹介したようにスカートの裾を掴んで名乗り、音葉に握手を求めるように手を出すが。
「なんで?」
っと言って美咲と握手をしようとはしなかった。