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五百文字の小説

作者: 銭屋龍一

 この星が太陽とあまりに仲良しだったので、嫉妬した月がその二人の視線を遮った。

 太陽はたちまち欠けていき、この世界は暗黒となった。そのためこの星の人々は世界の終わりが訪れたのだと、泣き崩れ、打ち震えるばかりとなった。

 そのような折、安寧の西、食杷に煉という弓の達人である武人がおり、その暗黒の中で神々のご宣託を聞いた。

『愛するものの肉を喰らい、その御力で、月を射落とすがよい』

 早速、煉は愛する加奈姫のもとを訪れると、その神々の御言葉を伝えた。加奈姫はすぐに承諾すると、衣服を脱ぎ捨て、その美しい体を煉の前に横たえた。煉は泣きながら加奈姫の肉を喰らい、その姫の胸の骨で一本の矢を作ると、天空の月に向って放った。

 すると、たちまち月は砕け、太陽はその輝きを取り戻し、世界は万色に染まった。

 加奈姫を喰らった丘の上に、うつぶせに倒れたまま動かぬ煉の屍があった。

 その屍は夜がふけると輝きはじめ、龍となって天に昇ると、新たな月となった。

 その月には加奈姫の形をした影が刻まれていた。


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