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モノローグ

 それは、ぼくが高校受験に向けて猛勉強を始めようとしていた(実際にしていたかどうかは...)、夏のある日のことだった。


 「お前には、八家魔法学院に行ってもらう」


 それが、家の族長がぼくに告げた言葉だった。

 「そんな!!何で!?」

 ぼくは口にしていたシュークリームを思わず噴き出しながら言った。

 ぼくは魔法を代々継承する、捌復一族に生まれた。そのためぼくには魔法の素養があり、本格的に修練を積めば、ぼくも魔法を使うことはできるだろう。しかし、普通魔法の修練を積む場合、早くは幼稚園から、遅くても中学生から八家魔法学院に通い、主な教育を受けなければならないのだ。いくらなんでも高校生からは遅すぎる。それに魔法の名家たる捌復家が八家魔法学院に子供を入学させないはずはない。そもそも八家魔法学院に出資している八家のうちのひとつが捌復家なのだ。それなのにこうして普通の学校に行き、ありふれた生活をしていることからもわかるとおり、ぼくは一族内でもあまり優秀な才能をもつわけではなく、いわば一族の中の「落伍者」だった。

 「わたしはあそこに通うほどの力はありません!なぜわたしが行かなければならないのですか!?」

 ぼくは魔法というものが嫌いだった。魔法の能力が劣っているという理由だけでぼくを見る目に侮蔑と嘲笑が混じる。一族のなかでさえそうだった。だからこそぼくは普通に普通の高校へ行き、それなりに名門な大学を出て、一生魔法とは縁を切って生活するつもりだった。

 「これから三年後、八家魔法戦争がおこなわれるのは知っておろう?」

 族長が口を開いた。

 「お主にはそれに出てもらう。捌復家の代表としてな」

 「何を・・・おっしゃっているのですか・・・?」

 本当に何をいっているのかがわからなかった。

 八家魔法戦争とは名前の通り戦争である。八家魔法学院に出資している八名家の壱火、弐水、参光、肆葉、伍闇、陸雷、柒嵐、捌復が、八家魔法学院に在籍する一族のなかからひとりずつ魔法師を選出し、ただひとりになるまで殺しあう。勝ち残った一族にはその後十年間、八家魔法学院の院長を務める権利が与えられる。この院長はすなわち日本の魔法界における頂点であり、世界の魔法界のなかでもトップクラスの立場となる。つまりその一族は十年もの間、繁栄し続けるのである。

 また、この八家魔法戦争はこの八家のみのものではない。八家の代表者はそれぞれ家臣として、八家魔法学院から何人かを仲間に加えることができる。その見返りとして、もし自分の仕える代表者が勝ち残った場合は、家臣として仕えた者たちの家もまた恩恵をうけるのだ。

 だが、

 「なんで魔法師でもないわたしが代表なのですか!?」

 「だから八家魔法学院に通わせると言っておろう」

 「そういう問題ではありません!!お兄様もお姉さまもいるでしょう!!なぜ落ちこぼれのわたしが出なければならないんですか!?」

 そう、なぜ明らかにも自分よりも優れているはずのふたりを差し置いて、このぼくが代表となるのだろうか。家の威信を懸けた大事な一戦を、よりにもよって落伍者に・・・。

 そこまで考えて、やっと理由に思い当った。

 ぼくの一族の「捌復」は、その漢字にあるように、「再生・回復」の魔法に強い、というより特化した家だ。そのため、攻撃手段としての魔法はほとんどなく、おおかた、すでに対抗法の知られているような、一般的な攻撃魔法しか使えない。

 それに対し、ほかの七家はいずれも何らかの強力な攻撃魔法をもっていたり、応用範囲の広く使いやすい魔法を持っている。

 そのためなのか、今まで十回ほど行われた八家魔法戦争ではいずれも早期に、捌復の代表者は殺されていった。

 つまり、捌復は一回も勝ち残ったことがないのだ。

 八家魔法学院の生徒たちにも八家魔法戦争での捌復の評判はかんばしくなく、最近の二回では、家臣となってくれる生徒はほとんどいないのである。

 それを踏まえたうえでの今回の八家魔法戦争である。

 今現在、捌復家の、八家魔法学院に在籍している人間は、ぼくの兄と姉である。どちらもとてつもなく魔法の才能にあふれており、将来有望な院生である。兄は嫡男であり、のちに家督を継ぎ、捌復家を背負う人間である。また、姉は、政略結婚の相手としては申し分なく、すでにほかの八家の後継者と婚約しているような状態だ。ようするにこのふたりには死んでもらっては困るのである。

 つまり、

 族長がぼくに言っているのは、

 「いいか、お前は捌復家の代表として三年後、八家魔法戦争をなんとしても勝ち抜くのだ」

 ほかのふたりのために、

 「捌復家の悲願のために!」

 黙って死んでくれ、ということ。

 「わかったか、ツカサ」

 すでに決まってしまった、捌復家の族長の決定に逆らえる道理もなく、すでにあまりのことに意識の遠のきかけたまま、その日のうちに八家魔法学院に転学させられることとなる。

 いやあ小説って時間かかりますねえおかげで今日勉強できなかったぜコンチクショー!!


 たぶん何か月もの間平気で更新しなくなったりするのであたたかく長い目で見てあげてください!!!www

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