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第十二章  何かと毎日起こりますー2


かくまえ!」



――って、いきなり人のテリトリーに入ってきて、


開口一番それってか!?



「やなこった!」



おとといきやがれ。

ケンカ売りたいなら、買ってやる!


「ちょ、ちょっとちょっと神戸ちゃん。

いきなり『やなこった!』ってのはあんまりでしょう。

――どうされたんですか? 山本先生」


とりなす深山さんのお言葉が耳に刺さります、が、


あたしとこいつとの因縁は、何度も言いますが十年越し。

思いっきりケンカ腰の姿勢のままで、飛び込んできた剛史を糾弾する。


「で、なに? 一体、何の御用? 

仕事に関する事以外、受け付けたりなんぞしないから、

そのおつもりでご発言」

「しょっぱなから、ケンカを売るな!このバカ娘。

聞いてないのか、頼むっつったろう! 

しばらくでいいから、ここに隠れさせてくれ!」

「は? なんで?」

「いいから! 訳は後でちゃんと話すから! 

どっか隠れるトコって… ないか… ないのか…?」

「ちょ、ちょっと待て! 

そんなでっかい体で、なに机の下なんかに潜ってんのよ! 

それって、隠れた事になってないから! 

っていうか、思いっきり見えてるし!」


何だ、いったい。


いきなり人の机の下に潜り込もうとするなんて、自分のガタイを考えろ。

いや、もうそれ以上に、

情けないから止めてくれ。

ナース達の夢を壊すんじゃない。


一応あんた、この病院で若手ナンバーワンだろが。


とりあえず、話を聞かにゃなるまいと、

あたしはしゃがみこんだ剛史の横に、同じようにしゃがみこむ。


「いったい何がおこったの? 

あんたみたく図太い奴に、怖いものなんてあったっけ?」


「人を人外みたいに言うな。

俺にだって怖い物や苦手なものはちゃんとある! 

――何で俺が、こんな風に逃げ回らなきゃならないと思ってる! 

お前が悪い! 責任取れ!」


「ああ!? なんで、あたしが責任取んなきゃなんないの! 

理不尽、横暴、意味不明。もうちっと、日本語習って出直してこい!」


「成績を、お前に言われる筋合いはない!」

「…やっぱ、ケンカ売ってんの…?」

「やるか!?」

「やってやる!」


「――二人とも、論点ずれてるし…」


呆れた様な深山さんの言葉に我に返る。


ヤバい。

一瞬頭がヒートアップしちまったぜ。

あたしも焼きが回ったな…


「で、山本先生。

落ち着いて状況を話していただけますか? 

こちらとしても、何が何だかさっぱりわからないんですが」

「深山さん…」


振り返って深山さんを見た剛史の眼は、まるで小動物のよう。


地獄に仏って感じだぞ。

お前、本当に大丈夫か?


「すんません。何も言わずに、しばらくここにいさせてください」


お願いします。


「それは、まあ… 仕事に差し支えなければ、かまいませんが…」


なんとも、歯切れの悪い深山さんのお返事に、

剛史が改めて口を開こうとしたその時に。


トントン。

軽いノックの音。


「失礼します」


それと同時に開けられたドアの向こうの人物に、

あたしは思いきり驚いた。





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