プロローグ 第一章 そのはじまり
恋をした。
したくもないのに、初めて真剣な恋をした。
けれど、これは、
どうあがいても報われない、あたしの恋の話――
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恋をした。
あたしが初めて本気で惚れこんでしまったその人は、
十歳年上の、上官で。
信じられないくらい綺麗な顔に、
ありえないほどカッコいいスタイル。
国内五指に入ろうかという毛並みの良さに、
国王に継ぐ莫大な領土を持つという大貴族兼大富豪。
おまけになんと、非の打ちどころのない婚約者までいらっしゃる。
それに引き換えあたしときたら、
ものすごい年下の、ちびでドジで平凡で。
生まれだって貴族とは名ばかりの、東の僻地の小さな男爵家の三番目。
立場だって、
迷惑をかけまくっている、部下の部下のそのまた部下。
――それが、あたし。
おまけに、これこそが本当に極めつけ――
紛れもなく、
あたしは男、なんである。
そうなんです。
わかってんです。
初めから全部、ぜ~んぶ、わかってたはずなのに。
惚れこんでしまうのを止められなかった。
男なのに、「あたし」とかって可笑しい?
そこ、今は聞かないで。
ちゃんと自分の外に向かっては、
きちんと「僕」という一人称を使ってます。
間違えることなんてないって断言できる。
ついでに言うと、
あたしには、そっち系の趣味はこれっぽっちもございません。
そりゃ、他人様の趣味趣向を、どうのこうのと咎たり、
声高に非難したりはしないけど。(恋愛はあくまで個人の問題だと思ってます)
それが、こと、自分自身に関わってくるとなると話は別です。
その手のお話は、はなっから「無理!」――との結論に達してしまう。
――じゃあなんで?
…はい。ごもっとも。
あたしだって、『何故?』と、一度誰かに聞いてみたかった。
…………えっと。
これを言うと、
絶対なんか文句を言われそうな気がするんだけど。
あえて言わせていただきます。
【ゆめ】、だから。
ゆめ――?
はい、夢。
ゆめ――Dream。
そう、あの、
バタンとベッドの横になって、「おやすみなさい」って言ってから
きっと誰でも一度はみたことのある――その、夢で、ございます。
あ~ん、だから!
ふざけるなっていわないで!
しょーがないじゃない。夢だもの。
夢の中なんだからしかたない。
男が男に惚れたって、
惚れちゃったものは仕方ないでしょーが!
あたしだって、好きでこんな夢見たわけじゃない!
理想の夢がみたいな~なんて思っても、みれる訳、ないじゃない。
勝手に人の中に来る、
ある意味とんでもなくお騒がせな世界の中で。
あたしは、初めての恋をした。
そんなとんでもなく、どうしようもないシチュエーションにもかかわらず、
あたしは恋に落ちてしまっていた。
ご無沙汰しております。
完成いたしましたので、改訂版として再投稿することにしました。
よろしくお願いいたします。




