第一話 プロローグ
幼馴染のカイトの右目と右足を潰した。
カイトは領主様の息子、私は平民。しかも孤児院の子だ。
ふとしたきっかけで私たちは出会い、そして仲良くなった。
領主様も私のことを知っており、本来なら身分違いで会うことは許されない私たちは、領主様の笑顔一つで自由に接することができた。
たまにお屋敷にまで招待してくれた。
そこには孤児院にはない、魔法に関する書物がたくさんあった。
魔法の才能があった私は、カイトが持ってくる魔法の本を借りて何度も魔法の練習をしていた。
カイトは魔法が使えなかったが、剣の才能があったらしく、同い年の子供の中では敵はいなかったようだ。
カイトは明るくて、才能があり、そして努力家だった。
賢明な父親の力になりたいと日夜、様々な努力を重ねていた。
私の苦手な勉強もできるというのだから、素直にすごいと思った。
将来は領地の民のために頑張りたいと言っていた。もちろん、私のことも守ると。
そんなひたむきなカイトが私は好きだった。
二人で魔法の練習中、私は炎魔法をコントロールしきれず暴走させてしまった。
エネルギーが暴走し、爆発する寸前、カイトが私と魔法の間に割り込んだ。
その直後、魔法が爆発。
そのエネルギーの強さに私たちは地面をひたすら転がり、気を失っていた。
目が覚めると血だらけのカイトの顔が目の前にあった。
その顔の右半分は黒く焦げていた。
人を呼ばないと、そう思い重い体で立ち上がると、その惨状に声が出なかった。
顔だけでなく体の右半分が黒く焦げていた。
それでも、何とかカイトを助けないといけない、その一心から私は人を呼びに行った。
騒ぎを聞きつけた大人が既に様子を見に来ていたようで、事情を話すとカイトのところへ駆け出した。
一命はとりとめたが、カイトの右目と右足は回復せず、使い物にならなくなった。
右目は義眼、右足は義足で生活するようになった。
民のために剣を振るいたいと言っていたカイトは、私のせいでその剣を振るえなくなった。
顔立ちのいい顔は、残った焼け跡が覆われている。
時折、傷がうずくようで苦しそうな表情をしていた。
領主様は、事故だったのだから仕方ない。回復したらまたあの子と遊んでやってほしいと言葉をかけてくれた。
それ以降、カイトとは会っていない。遠くからカイトを見ていたが、顔を合わせる勇気はなかった。
時折、カイトは孤児院に来ていたようだが、もう関わるなという神の采配か、鉢合わせることはなかった。
ちょうどその頃、魔法学院への推薦が来ており、私はもう、この力でカイトを傷つけないようにコントロールすべきだと考え
そして、カイトと会わないようにするため魔法学院へ入学した。
それから5年の月日が流れた。
成績はパッとしなかったが、魔法をコントロールできるようになった。
もうあの時のように、カイトを危険な目に合わせない。
あの時、カイトがいてくれなかったら私はおそらく死んでいただろう。
これからは私の人生を賭してでもカイトを守るし、カイトに何をされてもいい。
前の町で領主様の息子の護衛を募集していると聞いた。
実力重視の試験で護衛役を決めるらしい。
息子というのはカイトだ。
私は今の名前を捨てる。カイトを傷つけた、あの時の私はもういない。
新しい私、【カリナ】として、私は試験会場に向かった。




