だいすきなひと
朝は得意なんだ。僕は早起きなんだよ。
まだかな。早くカーテン開けてくれないかな?
「きぃちゃん、おはよう」
にこにこしながら、しょうちゃんがいつもの挨拶をしてくれる。
暗かった部屋が、キラキラ明るくなっていく。
「おはよーしょうちゃん!おはよー!」
「可愛いねえ。今日も元気だね」
えへへ。そうだよ。僕はカワイイんだ。
しょうちゃんがそう言ってくれるの、嬉しいな。
用意してくれたご飯をもぐもぐ食べる。
早く早く、しょうちゃんと遊びたい。
しょうちゃんも朝ごはん、食べ終わった?
「遊ぼう!しょうちゃん遊ぼう!」
「ふふっ、ハイハイ。遊ぼうか」
優しい手が、僕をそっと連れ出してくれた。
パタパタパタパタッ。
自慢の黄緑の翼を羽ばたかせ、僕はしょうちゃんの肩に留まった。
優しくほっぺにキスをする。
「ピュルルピュルル。しょうちゃん大好き」
「僕もきぃちゃん大好きだよ」
“好き”って言うと、しょうちゃんはいつも優しくほっぺで僕にすりすりしてくれる。
とっても嬉しくて安心するんだ。
しょうちゃん大好き!
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ピュルルピュルル
「ーーーーうぅ、朝かあ…」
隣はインコを飼ってるようで、朝になると綺麗な鳴き声が聞こえてくる。
決まった時間に鳴いてくれるから、すっかり目覚まし代わりになっている。有難いわあ。
ふわあと欠伸をして起き上がる。枕元にはぷうぷうと寝てる黒と茶色のぶち模様の猫。
ぐっすり寝てるなあ。いいなあ。俺ももうちょい寝たい…。
猫の寝てる顔見てると何でこんなに眠くなるのかねえ……。
ピュルウピュルル
「ハッ!あっぶな。寝てた」
慌ててベッドから降りた。やべ、遅刻しそう。
「ニャーン」
「お?こむぎ、起きた?朝ごはん食べるぞー」
「ニャーン」
こむぎは一つ返事をすると、くわあと欠伸をしてペロペロと毛繕いを始めた。
「あー時間ない!先に食っちゃうからな!」
紘平はキッチンへ急いだ。
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のどかな昼下がり。今日も良い天気だなあ。
今日は急ぎの締切もないし、スーパーへ買い物に行こうかな。
そうだ。きぃちゃんにブドウ買ってこよう。
アパートの廊下に出ると、壁沿いに窓が並んでいる。
隣は飼い主の帰りを待っているのか、いつもここで外を眺めてる黒と茶色のぶち模様の猫がいる。
カーテンを潜って、窓辺に座ってジッと見てる。
「やあ、こんにちは」
いつもいるから、挨拶をする習慣が出来てしまった。
チラリとこちらを見た後は、猫は何も気にせず外を眺める。
ペット可物件に住んで良かった。
ご近所さんのペットが今日もカワイイ。
僕は機嫌良くスーパーへ向かった。
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静かな夜。外ではリーンリーンと虫の音。
ふうわりお月様が夜空を照らしてる。
窓から外を見ていた。もう誰も歩いていない。
ここはいろんな人間が歩くから、見てて飽きないの。
そろそろワタシも寝ようかな。
お気に入りの場所へ行こう。
ふわふわお布団の中で、ぬくぬく暖かい紘平のお顔にくっつくの。
モソモソとお布団に頭から潜り込んで行く。
紘平の肩の横をある程度歩いたらUターン。プハっと頭を出した。
紘平のお顔にワタシのお顔をピトッとくっつけて一緒に寝るの。
「ん…」
紘平が、そっと身体を撫でてくれた。優しい手。
大きくてあたたかくて、安心すると喉が鳴る。
ゴロゴロ…ゴロゴロ
紘平大好き。おやすみなさい。




