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結界師 二

※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。

もし、面白いと感じて頂ければ、ページ下部にある《投票!!》のクリックへのご協力お願いいたします。



「はい? 父さん何言ってるの? 更年期?」


 父親である朧の言葉に、霞は鳩が豆鉄砲を食らったような顔になった。

 どうやら何も聞かされずにここに来たようだ。かわいそうに。

 なんとなく状況を察してきたのか、霞があわあわと慌てだした。


「え? いや? 私は父さんから統括室長が来ているから、挨拶しなさいって呼ばれただけなんだけど……?」

「いや、霞を今回の大宰府への遠征に同行する結界師として、統括室長に推薦するためだよ。いい機会だから、勉強してきなさい」


 やはり何も聞かされていなかったようだ。霞の顔が真っ青に染まった。脂汗が浮かんでいる。

 表情が豊かな子やな。コロコロ変わる顔を見ていて面白い。霞は急に頭を抱えて、その場で膝から崩れ落ちた。


「え……えぇぇぇぇぇぇっ!? 無理っ! 無理無理無理! 父さん私まだ配属されて一ヶ月だよっ!? それがいきなり統括室長が自ら動くような事案に同行って、荷が重すぎるよっ! 重すぎて膝から崩れ落ちるよっ!!  いやもう落ちたよっ!」


 しゃがみ込んで動揺する霞を、朧はニコニコと笑顔で答える。


「配属された期間なんて関係ない。まだ半人前とはいえ、霞は立派な結界師だ。今回の事案を経験すれば、確実に成長できる。羅刹を封印している祠の結界に触れる機会なんて滅多にないんだから」


 同じくしゃがみ込んだ朧が、霞の頭に手を添えて諭した。

 しかし、父親の話を聞いた娘は、急に引きつった顔を上げると、ますます顔を青く染めた。


「え? 待って……羅刹? 今羅刹っていった? 羅刹を封印した結界? え? いやいやいやいやぁぁぁぁぁっ!!」


 再び頭を抱えて叫びだす霞。この子おもろいな。まぁ、プレッシャーを感じるのは理解できる。

 朧も、できない事をさせるような人間ではないだろう。実力は既に備えていると考えるのが自然だ。

 私は席から立ち上がり、霞に近づき手を差し出した。霞が顔を上げる。


「霞さん、不安を抱くのはとても理解できます。ですが、父親であり当主でもある朧がここまで推してくれているのですから、一度頑張ってみませんか? あくまで補佐的な立ち位置なので、無理をさせるつもりはありません。安心してください」


 私の言葉を聞いた霞が、少し安心したのか手をとり立ち上がった。

 まだ顔の血色は良くないが、どうやら決心はついたようだった。


「わかりました……よろしくお願いします」

「はい、こちらこそ。頼りにしてますよ」


 その後、落ち着かせた霞を着席させて簡単に明日の予定を伝えた。

 朧に聞いたところ、どうやら大宰府の久井家も結界師の一族らしかった。


 久井家はたしか、宇野家が上京するにあたって祠の管理を交代した一族やったな。

 一応最終的な保険として、結界師を配置したんやろうか。


「では、そういう事で」


 関西方面鬼霊対策室を後にして、同じフロア内にある統括対策室へ戻った。

 席に腰を下ろすと、燐が再度お茶を入れ直してくれた。


「ありがとうございます。霞さんに会いましたよ。おもしろい子ですね。明日から同行してもらうことになりました」

「そうですか。よかったです。とてもいい子ですよ。対策室に配属される前から、白井さんに連れられてよくうちに出入りしていた子なんですよ」


 ──なるほど、だから燐は霞のことをよく知っていたのか。


「同行する室長補佐の人選はどうされますか?」

「そうですね。蓮葉と千草さんに統括室長代理をお願いしようとおもいます。燐は同行をお願いします」


 私の言葉に、燐は「承知しました」と敬礼で応えた。

 席から立ち上がると、天網の前に立つ。黒水晶に手を添えた。

 燐が装置を操作して、画面を衛星画像へ切り替えた。



「んーやっぱり鬼減ってるなぁ。鬼混殭屍増えそうやな」









この度は、当作品をお読み頂きありがとうございます。花月夜と申します。

当作品は、初めての執筆作品となります。

当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。

ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。

これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。

ありがとうございました。今後とも応援よろしくお願い致します。


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