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天台宗延暦寺 二十

※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。

もし、面白いと感じて頂ければ、ページ下部にある《投票!!》のクリックへのご協力お願いいたします。



 宗務総長との会合の終了後、我々は宿坊で帰りの準備を済ませて車に乗り込んだ。

爺さんもジャージ姿に戻っており、嫌そうにジャージの生地を引っ張っている。


「さて、対策室へ戻りますか。やることはまだ山程ありますからね」


 ドライブウェイを走り、車は早々に京都に入った。

車内で今後の予定について考える。とりあえずは大社への報告か。

今後の方針を決めて、夜にでも会議で室長達に共有できればいいな。


 四十五分ほどで、車は地下ロータリーのエントランスに到着した。

早速更衣室へ向かい、着替える。一秒でも早く着替えたかった。

そこで爺さんと別れ、私は統括鬼霊対策室へ向かった。


 対策室へ入ると、すぐに天網のモニターの前に向かう。

画面には、現在警護をしている早川家と久井家の敷地内。

そして周辺に設置された防犯カメラの映像が映し出されていた。


「静夜様、お疲れ様です」

「静夜様! おかえりなさい!」


蓮葉と燐が隣に来て、迎えてくれる。


「只今戻りました。カメラは無事に設置できたみたいですね。どうですか? 何か報告することはありますか?」


 昨日の午前中の会議の中で、月季の提案で防犯カメラの設置が提案されていた。

皆が賛成で一致し、功徳室長の主導で設置されることとなった。

私の言葉に、蓮葉は首を横に振った。


「いえ、急ぎ報告することはなにも。昨日の午後からの詳細はこちらにまとめています」


 蓮葉から手渡された報告書に目を通し、「わかりました」と答えて資料を返した。

特にこちらでは、大きな問題は発生していないようで安堵する。

私は、とりあえず大社へアポイントを取ることにした。


「通信士は大社へ暗号通信でアポを取ってください。今日の十七時に再度会議を開きますので、蓮葉は各室長と柊姉妹に情報を共有しておいてください。あと通信士と通信技師を、それぞれ二名しばらくの間、延暦寺に出向させることになっています。詳細に関しては会議で話しますが、全対策室の通信士と通信技師各員に希望をきいて人選を進めておいてください」


「承知しました」


 私の言葉に、蓮葉が敬礼で応えた。

その時、通信士がこちらへ駆け寄ってきた。


「統括室長、至急参られよとのことです」


 その言葉に頷くと、燐が入れてくれたお茶を一口すすって卓においた。


「さて、行きましょうか」


 燐を伴って、対策室を出た私は再びロータリーへ向かった。

隣を歩く燐が、少しソワソワしたように尋ねてくる。

やはり、延暦寺での偵察の結果が、気になるのだろう。


「静夜様、延暦寺はいかがでしたか? 何か進展はございましたか?」

「そうですね。結果からいうと、発見はしましたが、逃げられました」


私の言葉に、燐が顔を曇らせる。


「そうでしたか。残念ですね。ですがそれでも進展と言えます」

「そうですね。詳しくは会議の時に報告します」

「承知しました」


 車をアルファードからセンチュリーに乗り換え、大社へ向かう。

腕時計を確認すると、時間は十一時を過ぎた頃だった。

向こうに着くのはお昼になりそうやな。なにか近所にお店あったかな?


 お昼前に大社の関係者専用の駐車場に到着した。

愛宕山の麓にあった食事処が気になり、帰りに寄りたいなと考えながら車を降りる。

眼の前には、今では見慣れた瓜二つの巫女二人が出迎えてくれていた。


「栄神静夜様、お待ちしておりました。宇野大納言浄階がお待ちです。皆様のお食事もご用意しておりますので、運転手の方もご一緒にどうぞ」


──あ、食事用意してくれてるんや。じゃあ食事処はまた今度か。


 巫女の案内で、三人が離宮へ入る。

燐と宮本さんは別室に通され、私は宇野大納言浄階の待つ部屋へ向かう。

部屋へ入り座布団に座ると、案の定隣に咲耶が姿を現した。


 卓には、既に会席料理の御膳が並べられている。

浄階はまだ箸をつけずに、我々を待ってくれていたようだった。


「御二方、お待ちしていましたよ。まずは食事を頂くとしましょう。姫様、お酒ご用意しましょうか?」


 浄階の言葉に、咲耶は「いただくわ」と答える。昼間から飲むのかよ。

ただ雰囲気的に、いつもの流れといった感じなので、いつもこうなのだろう。

出された会席料理は、飾り包丁が入った雅な御膳だった。


 全体的に少し薄味に感じたが、これが本来の出汁を活かした会席料理なのだろう。

隣では、咲耶が酒をちびりちびりと飲みながら料理を摘んでいる。

確かにこの出汁を活かした味付けの料理は、日本酒にぴったりやろうな。


「では、食べながらで申し訳ありませんが、静夜殿報告をおねがいできますか?」


同じく小さなおちょこで、ちびりちびりと日本酒を味わう浄階が、報告を求めた。


「はい」


この度は、当作品をお読み頂きありがとうございます。花月夜と申します。

当作品は、初めての執筆作品となります。

当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。

ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。

これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。

ありがとうございました。今後とも応援よろしくお願い致します。


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