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天台宗延暦寺 十八

※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。

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「ピピピピピピピピピピッ」


 スマホのアラーム音で目を覚まし、枕元に置いたスマホの画面を確認する。

 時刻は朝の六時と表示されていた。んん……眠い。


 アラームを止めて体を起こし、周りを確認する。

 同室だった宮本さんも、同じく目を覚ましたのか、体を起こした。


「統括室長、おはようございます。寝不足ですか?」

「おはようございます。はぁ、あんま寝れなかったです」


 昨日はあの後、皆で延暦寺会館へ戻り、善鸞と彼の報告を受けた宗務総長と合流した。

 一連の出来事を報告すると、厳生はよほど信頼されていたのか、二人共驚きを隠せないようだった。

 それだけ「見当」という役職は、それだけ重要なポストなのだろう。


 その後は、真夜中まで宮本さんが人相を確認している厳生以外の学員を捜索するため、延暦寺中を回った。

 各エリアの僧坊と修行堂をまわり、僧の人相をチェックしていった。


 結果的には、数百人に及ぶ捜査だったが、該当する者は見つからなかった。

 だが、僧坊の名簿リストと一致せず、逃亡したと見られる数名の人物の洗い出しはできた。

 明日には、警察も捜査を始めるとのことだったので、あとはそちらにまかせることにした。


 本日は朝食後、再度宗務総長と今後について意見のすり合わせを行う予定になっている。

 着替えを済ませ、身支度を整え食堂へ向かう。そこには千草の姿があった。


「千草さんおはようございます。あれ? 爺さんは?」


 千草一人で爺さんの姿が見えない。昨夜は、爺さんと千草は同室だったはずだ。

 寝坊ということはないだろうから、先に動いているのだろうか?


「統括室長、宮本さんおはようございます。お祖父様は、起きると早々に朝食を済ませて、警察関係者の元へ向かわれました」


 やっぱりか、鬼霊対策室は元は警察の一部組織だったから、爺さんは警察に顔が利く。

 捜索情報の共有や、警察では理解しにくい部分の説明のために出張っているようだ。

 あくまで盗難された国宝級の宝物の捜索と犯人の逮捕が目的だが、相手は学員だ。油断はできない。


 朝食を終えて、三人で一度延暦寺会館から表へ出た。

 すでに捜査が始まっているようで、警察の鑑識らしき人物が慌ただしく動いている。

 テレビ局等のメディアも動いているのか、大型のカメラを背負ったカメラマンのとリポーターの姿も見える。


 彼らも学ランのおっさんとセーラー服の少女の三人を、物珍しげに横目で見て通り過ぎていく。

 用意された作務衣で出てくればよかったと少し後悔したが、もう今さらである。

 カメラで醜態を報道されるのだけは避けたいところだが、まぁ大丈夫だろう。


 その時、少し離れたところから爺さんがこちらへ向けて歩いてくる姿が見えた。

 爺さんは、ジャージではなく作務衣姿だった。なんか山に籠もってる仙人みたいやな。

 こちらの存在に気づくと、爺さんは手を挙げた。


「おう、おはようさん。よう寝れたか? お前ら学ラン気に入ってんのか?」

「そんなわけないでしょ。これしかないんだからしょうがないでしょ。私も作務衣に着替えようかな」


 そんなしょーもない茶番を済ませてから、爺さんは本題に入った。


「今回逃亡した厳生を含め、顕一学舎の学員と見られる者の身分だが、やはりすべて偽造されたものだった。だが、竜胆のように出家してから学員になったものもいる。その者らの身分は本物だと確認ができたそうだ。現在身分が確認できた者から、順次周辺の人間関係等を洗ってゆくらしい。地道な捜査になりそうやな」


 爺さんが警察から提供された捜査情報を報告した。

 まぁ、わかっていたことだが、先が思いやられるなと辟易する。


 しかし、自分の身分を捨ててまで、術式の研究に没頭したい気持ちが理解できない。

 竜胆は、何故厳生についていったのか。まだ復讐は終わっていないのか?

 あまりに理解できないことが多すぎて、常識とはなんなのかすらわからなくなりそうだ。


「とりあえず、逃亡した皆の顔写真は残っとるみたいやから、捜査後に全国指名手配犯として公開される可能性が高いそうや。まぁ国宝級の宝物の窃盗やからな。妥当っちゃ妥当やな」


 全国指名手配か。よく殺人容疑などで見かけることが多いが、窃盗でもなるんやね。

 でも考えてみれば、現金輸送車襲撃事件でもなってたし、おかしくはないか。

 いや、あれは指名手配じゃなくて情報提供を求めるポスターか。


 爺さんが腕時計を確認した。


「宗務総長との会合は九時やったな。それまでは自由時間にしよか」


この度は、当作品をお読み頂きありがとうございます。花月夜と申します。

当作品は、初めての執筆作品となります。

当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。

ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。

これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。

ありがとうございました。今後とも応援よろしくお願い致します。


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