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天台宗延暦寺 六

※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。

もし、面白いと感じて頂ければ、ページ下部にある《投票!!》のクリックへのご協力お願いいたします。



 階段を下りきり、しばらく歩くと、西塔のエリアのメインの重要文化財が姿をあらわす。

 さすがにメインのお堂だけあって観光客が多い。

 相変わらず周りから、突き刺さるような視線を感じるが、なんだか慣れてきた。


「ここが、現存する比叡山最古の堂である釈迦堂ですね」


 宮本さんが、地図を確認しながら説明文を読んでいる。

 私も同じくパンプレットを開いて説明文を読んでみる。


 釈迦堂は、比叡山延暦寺西塔の中心的なお堂で、本尊に釈迦如来を祀る。

 正式には「転法輪堂」とも呼ばれ、仏法の教えを広める象徴として重要視されている。


 堂は、西塔の静謐な山林の中に建ち、訪れる者に深い荘厳さと落ち着きを感じさせる。

 建物内部では、僧侶による日々の勤行が行われ。

 釈迦の教えに基づく修行が絶えず続けられている。


 釈迦堂は、西塔全体の精神的中心であり、修行者にとっても、参拝者にとっても重要な拠点である。

 周囲の自然と調和した堂宇は、比叡山の信仰と文化を象徴する建築として、人々に静かな感動を与える。


 ──ふむ、比叡山の信仰と文化の象徴とだけあって、貫禄があるなぁ。でも──


「うーん、ここも特に違和感は感じられませんね。あとは、マーカーの地点の鐘楼だけか……」


「そうなりますね。そこの階段を上がると鐘楼のようです。上がったところに茶屋があるみたいなので、そちらで休憩されますか? 集合時刻までまだ余裕ありますので」


 時計を確認すると、まだ集合予定の時間までは随分時間が余ったようだ。

 結構な距離を歩いたし、茶屋で情報の整理がてらに、休憩するのもいいかもしれない。

 まだ見物するところはあるのだが、あとは小さなお堂ばかりである。


「ええ、そうしましょうか」


 二人で鐘楼へと続く長い階段を上がってゆくと、マーカーが示していた鐘楼と茶屋が見えてきた。

 そこから望む景色は素晴らしく、そこに立つ鐘楼はとても立派ではあるが、やはり違和感は感じなかった。

 観光客が多いという要因もあるのだろうが、西塔エリアの全体的に浮遊霊相の流れも安定していない。


「んー? 今回はハズレやったかな? まぁ今回は下見やしこんなもんか」


 せっかくの記念にと、鐘楼の鐘を鳴らしてから、正面にある茶屋へ向かう。

 二人が店内に入ると、若い着物姿の女性が出迎えてくれる。

 笑顔でパタパタとこちらへ、小走りで走ってくる。


「いらっしゃいま……え? 学生? え?」

「「…………」」忘れてた。コスプレ中やった。


「あぁ、気にしないでください。二名です」

「あっ……はいっ。たいへん失礼しました。こちらへどうぞ」


 窓際の席へ案内されて、席につく。

 おすすめメニューなのか、みたらし団子の写真が目に入る。

 みたらし団子か、長い事食べてないな。糖分補給しとくか。


「私は、みたらし団子とお茶のセットで」

「私も、同じのでお願いします」

「はいっ、お待ち下さい」


 結構お客さんが入っており、店内は賑わっている。

 どうやら給仕の担当は、彼女が一人で店内を回しているようだ。

 厨房がある店の奥からは、みたらし団子の香ばしい匂いが漂ってくる。


「今回は、特に成果はえられそうにありませんね」


 うーんと、腕を組んで首をひねる。


「天鳳室長と千草さんの方で、何か情報があるといいですね。延暦寺は、本来東塔がメインだそうですし、何かしらの情報は掴めるかと」

「そうだといいですね」


「お待たせしました。みたらし団子のセットになります」


 先程の女性がお盆にのせたみたらし団子と日本茶を運んでくる。


「ありがとうございます」


 商品がのったお盆を受けとろうと、手を伸ばした時に、その女性と指が触れる。


「!?」


 一瞬ではあったが、見覚えのある霊相を感じる。

 店員の女性も、何かを感じたのか、表情が一変する。


「ご……ごゆっくりどうぞ」


 明らかに、動揺したような表情の女性が、店の奥へ下がってゆく。


「統括室長? どうかされましたか?」


 宮本さんが、心配そうにこちらを見ている。


「いえ、とりあえず頂きましょう」

「そうですね。頂きましょう」


 それ以降も彼女は、通常通り働いているようだった。

 だが、明らかにこちらを警戒しているようだった。やはり彼女が?


 お茶をおかわりして、女性を観察していると、私のスマホが震えた。

 ポケットからスマホを取り出し、画面を確認する。

 そこには、天鳳荒原の名前が表示されていた。


「爺さんからか、なんか掴んだかな?」スマホに応答する。

「おぉ、静夜殿、今大丈夫か?」


 なんだか、少し安堵したような爺さんの声が聞こえてきた。


「大丈夫ですよ。今は茶屋で休憩中です。どうしました?」

「そうか、急ぎで悪いんやけど、東塔の方へ来てもらえへんか?」


 爺さんの声が、少し焦っているのがわかる。


「何かありましたか?」


 こっちも、店員の女性の監視があるんやけどな。

 それよりも重要な内容か? 判断に迷う。

 そんな私の質問に、爺さんは複雑そうな声で答える。



「天台宗延暦寺東塔の大執行から、直々に支援要請や」




この度は、当作品をお読み頂きありがとうございます。花月夜と申します。

当作品は、初めての執筆作品となります。

当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。

ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。

これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。

ありがとうございました。今後とも応援よろしくお願い致します。


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