表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/124

天台宗延暦寺 三

※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。

もし、面白いと感じて頂ければ、ページ下部にある《投票!!》のクリックへのご協力お願いいたします。



 -天台宗延暦寺 東塔エリア-


 懐かしいセーラー服に身を包んだ私と、生活指導の教師に扮したお祖父様。

 二人は、駐車場から東塔エリアの入場口へと向かいました、


 途中、目の前に現れた周辺案内図の前で、私達は立ち止まりました。

 案内図には、周辺の重要文化財の寺院や、お堂の名が並んでいます。


「おじ……先生、どこから見ましょうか?」


 私は、隣に並ぶお祖父様を見上げます。


「あの……千草? もしかして、それ徹底するんか?」


 お祖父様は、ものすごく嫌そうな顔をしています。

 何故でしょうか? 職務なのですから徹底するのは当然のはずです。

 それに潜入偵察って、なんだかワクワクするじゃないですか。


「当然です。今の私達は、壮年の生活指導の体育教師と、その従順な教え子ですから」

「いや千草……、その言い方はやめなさい。聞こえが非常によろしくない」


 私の言葉に、お祖父様の顔が悲壮に染まっています。

 はて? なにかおかしなこと言いましたでしょうか?

 見たありのままの状況を述べただけなのですが、おかしなお祖父様です。


「はい? 私、何かおかしなこと言いましたか? 役割設定は、大事じゃないですか?」

「そ……そうやな。決めたことは守らなあかんな。千草はほんまええ子やなぁ」


 お祖父様は、なにか後悔を含んだような諦め顔で笑いました。

 なぜそんな悲しそうな顔をしているのでしょうか? 不思議です。

 お祖父様は、私と話していると、そうやって笑ってごまかす時がよくあります。


「お祖父様は、またそうやって甘やかす……。ですが、なぜ棒読みなのですか?」

「…………」お祖父様が、目を逸らします。


 東塔エリアの入場口で、参拝料を支払い、境内へ入ります。

 学生に変装しているとはいえ、私はもう成人しているので、もちろん大人料金を払いました。


 私達は、相談した結果、まずは国宝殿に向かうことにしました。

 パンフレットによると国宝殿は、寺院に伝わる数多くの文化財を保存・展示するための宝物館だそうです。

 説明文には、このように記載がありました。


 延暦寺は平安時代初期に最澄によって開かれました。

 以来、天台宗の総本山として長い歴史を持ち、多くの仏教文化を育んできました。

 その中で生まれた貴重な経典、仏像、仏具、書画などは、時代を超えて今に伝わっています。


 国宝殿では、これらの文化財の一部を一般公開しています。

 特に国宝や重要文化財に指定された品々を、間近に見ることができます。

 展示される内容は時期によって入れ替えがあり、訪れるたびに新しい出会いがあるのも特徴です。


 ここに収められている宝物は、単なる美術品ではありません。

 信仰と修行の中で実際に用いられ、人々の祈りや歴史と深く結びついてきたものです。


 そのため、国宝殿は延暦寺の歴史と精神を体感できる場所でもあるのです。

 日本仏教文化の核心に触れられる貴重な施設となっています。


 とのことでした。いわゆる日本仏教専門の博物館っといったところですね。

 国宝殿へ入ると、中にはさまざまな国宝とされている品が、展示されていました。


「先生、なにか感じますか? 私は展示物以外からは、特段気になるような霊相は感じません」

「そうやな。儂も同意見や。念の為に一通り回ってみて、違和感がなければ次へ行こう」

「はい、先生」


 国宝殿を一通り見てから、私達は延暦寺の総本堂である、根本中堂へ向かうことにしました。

 根本中堂は、比叡山延暦寺の総本堂であり、天台宗の総本山を象徴する建物です。


 現在は、老朽化の修繕工事のため、社屋は周りを大きな壁で囲まれていました。

 どうやら、中には入ることが可能なようなので、二人で中に入ることにしました。


「ここが、あの天台宗の始まりのお堂なのですね。歴史を感じます」

「そうやな、私達天鳳家が派生したのも、だいたいこの頃やと、書物には記載があるな。現在の根本中堂は、徳川家光の時代に再建されたものやけどな」


 私とお祖父様は、並んでお堂の中でしばらく感傷に浸っていました。

 すると本当の修学旅行中の生徒のグループが、賑やかに入ってくるのがわかりました。


「千草君、何か感じる事はあるかな?」

「いえ先生。ですが、お堂の奥に少し違和感は感じます」

「そうやな。とりあえずここは保留で、次へ行こう」


 その後は、大講堂や鐘楼などを回りましたが、特に問題は感じられませんでした。

 そこから、しばらく歩くと、鳥居が見えてきました。


「これが、星峰稲荷社ですか。仏閣の敷地内に神社があるのって、いつも不思議に感じますね」

「せやな、けど建立当時は、神仏習合の考えが大きかった時代やからな」


 神仏習合とは、日本の古来の神道と外来の仏教が融合して展開した信仰形態のことです。

 仏教が六世紀に伝来した当初、日本にはすでに自然や土地の神々を祀る神道の信仰が根づいていました。


 新しく入ってきた仏教は、単純に神道と対立するのではなく、「神も仏も同じく尊い存在」と解釈され、両者を結びつける形で共存していきます。


 この考え方に基づき、神を仏の化身とみなす 本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)が生まれました。

 たとえば「日本の神は、人々を導くために仏や菩薩が姿を変えて現れたもの」とされたのです。

 故に、神社に仏像や仏具が置かれたり、逆に寺の境内に神を祀る社殿が建てられたりするようになりました。


 しばらく歩いていると、すこし先に延暦寺会館が見えてきました。

 こちらは宿坊にもなっており、予約をすれば宿泊も可能とのことでした。


「さて、結構歩いたし、一旦延暦寺会館の喫茶店で休憩しよか」



この度は、当作品をお読み頂きありがとうございます。花月夜と申します。

当作品は、初めての執筆作品となります。

当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。

ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。

これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。

ありがとうございました。今後とも応援よろしくお願い致します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ