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三条大橋 七

※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。



 入浴を終えて大浴場を出る。

しかし洗濯中の衣服がまだ戻ってこないため、バスローブ姿のまま現場に戻ることになった。


「なんでバスローブやねん……普通に引くわ……」

さっそく康平にツッコまれる。

「いや、バスローブってなんかロマンあるやん? 憧れるやん?」

軽口を叩きながら事情を簡単に説明していると、警官が近づいてきた。


「柿本さん、お待たせして申し訳ありません。先ほどはありがとうございました。簡単な調書を取らせていただきたいのですが、ご協力をお願いします」

「あ……はい。こちらこそ、お待たせしました」


 警官は私の全身を見て、不思議そうな顔を浮かべながら尋ねてくる。

「バスローブですか?」バスローブです。なにか? 警官さんも興味あります?

「下着などは、つけられてます?」え? ……いえ。

「つけてないです……まだ洗濯中なので……」


「大丈夫だとは思いますが、はだけないようご注意ください」

「はい……すみません」


  一通り、今回の経緯(人工呼吸も含む)を説明し、最後に個人情報を聞かれて調書は終わるようだ。


「ご氏名は?」

「かきもとつかさです。柿の種の“柿”に、本物の“本”、司会者の“司”です」

「ご年齢は?」

「……三十九です」もうすぐアラフォーです。


「ご職業は?」


「!?」

「?」

「一応、フリーのエンジニアです。でも、ほぼ無職です……」お仕事ください。

「ありがとうございます」お礼はいいので、お仕事ください。


「…………」


「ところで、お連れの方からお聞きしたのですが、柿本さんは霊障などが見える体質なんですか?」

ん? 何の話をしてるんですか?


 まぁ、見えますが……康平、何しゃべったんや?

いらんこと言うてへんやろな。


「はい?」


「鬼が見えているとか、なんとか」

くるりと振り向き、康平を見る。

「ん?」という顔をしている。


 「それと、要救助者を引き上げたときに、お連れの方が“鬼はどうなったか”と尋ねたところ、“食ったからもう大丈夫”とおっしゃっていたと」


 「!?」


 もう一度康平を見る。

やはり「ん?」という顔で首をかしげている。

四十手前の男の、そんな仕草は見たくない。

確かに言ったことは事実だが、面倒なことは大嫌いなので、ここは回避コースを取る。


「いや……まあ、見えるのは見えます」

嘘をついても仕方がないと思い、正直に答えた。


「“食った”ってのは方便で、まぁ、簡単に言えば祓った……みたいな?」

もう、しどろもどろである。


「祓ったというのは、除霊をされたということでしょうか?」

「ん? ……んー? まぁ、そんな大げさなもんじゃないんですけど……」


 お願いです、これ以上ややこしい話に巻き込まないでください。

早くビールを……ビールをくださいっ!!


「失礼ですが、そういった霊障現象に対応する専門の部署が、京都府警にはありまして……」

専門の部署? 霊障の? そんなのあるの?

「そちらに共有する資料作成のために、差し支えなければ家名や流派などがあるなら教えていただけますか? 『流名』って言うんでしたっけ?」

警察にそんな部署があるなんて……世も末やな。


 けれど、その理由はなんとなくわかる。

最近、鬼が急激に増えているからだ。

「……はぁ」めんどくさい。


 うちの家系は、すでに大社の記録から抹消されていると先代から聞いていた。

もともと、裏で動いていた家系だ。

うちのことを知っているのは、少数の上位の祓い屋を除けば、ほとんどいないはず。

でも、一応保険くらいは用意しておこう。


 私には流名はなく、よくわからない。

昔は家にもあったらしいが、漢字は知らない。

うん、これでいこう。さすがにカタカナだけじゃ特定できないだろう。

いける、いける。


──このとき私は、楽観的にそう考えてしまい、のちに大きく、大きく後悔することになる。


この度は、ご覧いただきありがとうございます。花月夜と申します。

初めての執筆作品となります。

当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。

ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。

これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。

ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。


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