鬼混殭屍 一
※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。
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関西方面鬼霊対策室の室長である天鳳の爺さんからの着信に、私は慌てて応答する。
「おぉ、やっと繋がったか。静夜殿、戻ってきてそうそうに悪いが、緊急事態や」
爺さんの野太い声が、スマホの受話部分から響く。
何度か電話を架けてくれていたようだが、新幹線に乗る際にマナーモードにしており。
着信に気付くことができなかった。。
先程、天鳳五木から妹である千草に連絡が行き、千草を通して事態を把握した旨を爺さんに伝えた。
福岡県太宰府市、そこを拠点にしている祓い屋の一族である小室家の屋敷が、複数の獄鬼の襲撃にあった。
唯一逃げ延びることができた当主の次男が、我々のお上である大社へ通報したとのことだった。
「今、宮本さんにできる限り急いでもらい、対策室へ向かっています。天網の準備をお願いします」
「承知した」──天鳳の爺さんから返事があり、通話が切れた。
それから、数分後に京都御苑の管理事務所裏にある地下シェルターへの出入り口に到着。
車は急ぎ地下道を進み、エントランスのロータリーに停車後、降車した私達は、早足で統括対策室へ向かった。
対策室内では、天鳳の爺さんと補佐の五木が、天網の準備を完了して待機していた。
「あれから状況の変化は?」
私の言葉に五木が答える。
「はい。先程、現場に向かっていた九州沖縄方面鬼霊対策室の部隊が到着しました。しかし、火災が激しく近づくことができないようです」
現在は、人払いを行い、消防と共に、屋敷の消化活動中とのことだった。
私は急いで天網に近づき、探索を開始する。
二割の霊相を消費するが、明らかに霊相の消費量が少なかった。
数体の獄鬼が確認されているのであれば、もっと多くの霊相を消費するはずだ。
天網の画面を確認するが、報告のあった地点は元より、福岡県内に獄鬼の反応は見当たらなかった。
想定とは違った結果に驚く一同。もしかしたら、今回も夜叉がいるのかと疑念が膨らんでゆく。
その後は、一時間おきにに天網を使用しながら、蓮葉の千里眼で現場の消火活動を見守る。
二時間程で消火が完了し、屋敷内の捜索が始まった。
三時間の捜索で、屋敷内にいたとされる七名の内、四名の遺体が収容された。
だが、どの遺体も損傷が酷く炭化が進み、身元の判明には時間がかるそうだ。
屋敷にいた七名の中には、非番だった九州沖縄方面対策室の部隊員二名が含まれているとのことだった。
時計を確認すると、時刻は午前三時に近づいていた。
九州沖縄方面の対策室を除き、各対策室の待機部隊の一部隊を残し、一度帰宅の指示を出す。
九州沖縄方面の対策室には、各部隊ごとに休憩を回しながら警戒にあたるように指示を出した。
午前九時半に、緊急対策会議を行う旨を伝えて、職員を含め皆一時解散した。
対策員の半数は帰宅したが、もう半数は、終電もない為、シェルター内の宿舎で仮眠を取るようだ。
私も、そうしようと思ったが、補佐達も出張で疲れているだろうと思い、シェアハウスへ帰宅する事にした。
帰宅後、すぐに浴場の準備をして、冷蔵庫の有合せで簡単な食事を摂る。
私は、起床後にシャワーを浴びると女性陣に伝えて自室に戻った。
脳が様々な感情で覚醒してしまっているので、少しでも眠る為にチューハイを一気に飲み干した。
早々に着替えてベットに入り、浅い眠りについた。
七時半に起床し、シャワーを浴びようと一階へ降りる。
リビングでは、咲耶がテレビの前で、昨日の火災のニュースを眺めていた。
シャワーを浴びてリビングに戻ると、もう咲耶の姿はなく、女性陣が朝食の準備をしていた。
「おはようございます」
女性陣から各々挨拶があり、手を上げて応える。
「おはようございます。咲耶は?」
千草がそれに答える。
「先程まで、そちらでテレビをご覧になっていましたが、何やら神妙な表情でお姿をお消しになりました」
神妙な顔? 何か心当たりがあるのだろうか? あとで聞いてみよう。
皆で朝食を済ませて、早々に準備を行い、九時前には対策室に到着した。
早速、天網で探索を行うが、やはり獄鬼の姿は確認できなかった。
燐に、九州沖縄鬼霊対策室へ情報の共有を指示する。
対策会議の九時半までまだ少し時間があったので、デスクのPCで昨日の火災のニュースを一通り漁ってみる。
午後八時二十分頃、福岡県太宰府市の小室将生さんの大型の木造住宅で大規模な火災が発生した。
将生さんの次男の小室洸平さんが燃える自宅から脱出ことができ、消防へ通報した。
焼け跡からは、既に五名の遺体が発見されており、現在も捜索が続いている。
警察は、現在発見されている身元の確認を急いでいるとのことだった。
その時、対策室の扉が開き、天鳳の爺さんと五木が入ってきた。
私も立ち上がり、会議室へ向かう。
会議室では、既に補佐達が通信士と共に、ビデオ会議の準備を進めている。
私と蓮葉、天鳳の爺さんと五木の席にはノートパソコンが設置されいる。
会議室のプロジェクターにはノートパソコンの画面が出力されているようだった。
既にパソコンの画面には、関東の月季と小黒、東北の睡蓮と丙、九州の心と補佐の蓮華が待機している。
こちらも、それぞれ席に付き、皆がヘッドセットを装着した。
机の上に置かれた資料に一通り目を通して、対策会議を開始した。
この度は、当作品をお読み頂きありがとうございます。花月夜と申します。
当作品は、初めての執筆作品となります。
当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。
ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。
これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。
ありがとうございました。今後とも応援よろしくお願い致します。




