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鬼火村 一

※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。

もし、面白いと感じて頂ければ、ページ下部にある《投票!!》のクリックへのご協力お願いいたします。



 天鳳千草のシェアハウスへの転居から一週間が経った。

夕食を終えたリビングのテーブルでは、明日訪れる予定となっている関東方面鬼霊対策室。

そして、鬼戸家の本拠地となっている岩手県鬼火村についての打ち合わせを行っていた。


 鬼火村へ向かう目的は、鬼戸家の本家に蔵書されているという禁書の閲覧の為である。

その禁書には、鬼たちから人為的に大鬼を生成する方法が記載されているとの事だった。


 鬼戸家の先祖が、早池峰の渡りを参考に生み出した、今は封じられた禁術なのだそうだ。

流石は呪術関係に長けた鬼戸家である。


 一方ソファでは、咲耶と水が芋焼酎のお湯割りを呑みながら、わさび味の柿の種を肴に晩酌している。

完全に入り浸っとるなぁ──上機嫌の二人の様子に呆れつつも、まあ楽しそうなので放おっておくことにする。


 明日は、私と室長補佐である燐と蓮葉。

そして、新たな補佐となった千草を含めた、計四名で向かう予定だ。


 打ち合わせを終えて、自室へ戻りPCに向かう。

改めて、明日向かう予定である岩手県鬼火村の位置をマップで確認する。


 鬼火村は、東北新幹線の盛岡駅から、北東方面に数十キロ程進んだ所にある。

岩手県の内陸に位置する、そこそこ規模の大きな村のようだ。

村の中にある鬼戸集落が、今回の目的地である。


 盛岡かぁ、焼肉がうまいよなぁ。あと盛岡冷麺も食べたいなぁ。帰りに寄れへんかな?

──ふと、マップ上のある地点に目が留まる。ここに早池峰があるのか。そうか、みんな岩手なんやな。

盛岡駅の南東には、渡りが起きた早池峰が確認できる。鬼火村からは車で一時間半ほどの距離らしい。


 小型の冷蔵庫から缶チューハイを取り出して、栓を開けて再びPCの前に座る。

大鬼の生成、そして合成。更には、仏道による夜叉の召喚。


 どう見ても異常な事態に陥っているのは、目に見て明らかだった。

何せ、自分は何者かに殺されかけた訳やしなぁ。

鬼火村で、何か少しでも有用な手がかりが掴めるとええんやけどな。


 件の崩玉を送った大社からは、未だに連絡はない。まだ調査中なのだろう。

ニュースサイトで、最近のトピックスに一通り目を通してからチューハイを飲み干し、PCの電源を落とす。


 明日は、鬼火村で一泊とのことだったので、旅行用のバックに洗面道具と着替えを詰め込む。

忘れ物が無いのを確認して、明日はロードワークで朝が早い為、早々にベットに入る。


 リビングでは、まだ晩酌を続けているのか、時折にぎやかな女性の笑い声が聞こえる。

かすかに千草の声も聞こえるので、恐らく酔った水に絡まれているのだろう。

その声を子守唄代わりに、私は眠りについた。


 翌日、早朝のロードワークを済ませて、浴室でシャワーを浴びる。

自室で着替えを済ませて、リビングへと降りる。


「静夜様、おはようございます」

朝食の準備をしている燐と蓮葉から声がかかる。


「おはようございます」

軽く手を上げてそれに答える。


「統括室長、おはようございます」

昨日の晩酌で、咲耶達が散らかした後片付けをしている千草からも、同様に声がかかる。


「おはようございます。千草さん、本人達に片付けさせるから甘やかさなくていいよ」


 ソファでは、一体いつまで呑んでいたのか、咲耶と水が爆睡している。

はぁ、寝るなら高天原に帰ってから寝ろよ。呆れながら頭を掻く。

私の言葉に千草は微笑み、「いえ、私がお役に立ちたいのです」と手際よく片付けてゆく。


 テーブルの各席には、白米にお漬物、豆腐とネギのお味噌汁に定番の塩鮭の切り身の焼き魚が並んでいる。

朝食と夕食は、基本的に交代性になっている。

千草が来てからは、一日おきに燐と蓮葉と千草の三人で、ローテーションで回しているそうだ。


 私も家事ぐらいはと申し出たが、断固として断られてしまった。

どうやら三人共々、家事は女性が行うという、昔ながらの考えをしている様だった。

最近では、主夫も増えてきていると聞くけどなぁ。実は、料理結構得意やったりするし。


 皆で朝食を頂き、各自出発の準備を済ませる。

リビングに皆が揃ったのを確認して、玄関を出る。

玄関前で待機していた宮本さんが運転するアルファードで、JR京都駅まで送ってもらう。


 JR京都駅の八条口に到着後、宮本さんにお礼を伝えて新幹線の改札口まで移動する。

予約をしていた東京行きの東海道新幹線の切符を発券して、改札を通過後ホームへ向かい乗車する。


 二時間弱ほどで、JR品川駅へ到着する。

下車して改札口を出ると、私達の姿に気づいた一人の男性が駆け寄り敬礼する。こちらも敬礼を返す。


 関東方面鬼霊対策室の職員に出迎えてもらい、車に乗り込み対策室へ向かう。

対策室へ到着後、堂上月季及び堂上小黒と挨拶後、簡易的な近況報告を交わす。


「小黒さん先日は大変お世話になりました。最近の病院ってすごいんですね。驚きましたよ」


 以前、堂上家が経営する病院で入院した際に、様々な検査を受けた。

今まで健康診断など、ほとんど受けて来なかったのである意味新鮮だった。

様々な検査機器があり、まるで改造人間にされているような気分になったものだ。


「ははは、左様ですか。医学は日々進歩しておりますからね。AIの活用でさらに今後急激に発展するでしょう」

小黒が、穏やかな笑顔で院長の顔になり、今後の医学について答えてくれる。


 荷物を会議スペースのデスクへ置いてから、早速天網での探索を行う。

二割強の霊相を消費して、画面に中部地方から北海道までの探索が終了する。

画面を確認すると、県庁所在地の都市部を中心に、約一八〇件のマーカーが確認できる。


「目立つのは長野と石川、そして新潟と北海道に数体から十数体大鬼がいますね。やっぱり明らかに大鬼の発生率が増えてますね」

堂上月季が腕を組んで、画面を確認している。


「小黒、長野と石川へそれぞれ一部隊派遣してください。その他の指示は小黒に任せます」

「承知しました」小黒が頷く。


「私は、一部隊率いて新潟へ向かいます。大鬼が一番多いようですし、今日は睡蓮室長は動けませんからね」

鬼火村の案内の為、睡蓮は今村に戻っている。北海道各地には、丙が率いる部隊が向かう事になるだろう。


「月季室長、新潟の大鬼は私が──」

私が言い切る前に、月季が手で制して首を振る。


「大変有り難い申し出ですが、静夜殿は探索して頂けるだけで十分です」

月季は画面に近づき、見上げる。


「なぜこんなに大鬼が発生したのかを、細かく調査するのも我々の仕事です。私は現場主義なので」

その言葉に、「わかりました」と素直に頷く。


 インテリな外資系エリート証券マンの様な見た目の月季だが、意外と現場気質の熱い男性なのだ。

関東方面鬼霊対策室の実働部隊が出動するのと同時に、私達も対策室を後にしてJR東京駅へ向かう。

東京駅で駅弁を購入後、新幹線のホームへ向かい、予約してもらっていた東北新幹線へ乗車する。


この度は、当作品をお読み頂きありがとうございます。花月夜と申します。

当作品は、初めての執筆作品となります。

当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。

ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。

これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。

ありがとうございました。今後とも応援よろしくお願い致します。


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