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天鳳千草 六

※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。

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「!?」

どうゆう意味や? 確かに蝶は全て殲滅したはずや。


「蝶をいくら切り刻んでも、完全に燐粉は消滅しない。そして、それをあなたは大量に吸い込んでいるわ」

掴まれた右腕を振り払おうとするが、急激な霊相欠乏の影響か力が入らず振りほどけ無い。


「私の黒燐は、一定量吸い込むと相手の霊相と結合して相手の霊相を吸収する」

「…………」やられた。燐粉を吸わすのが目的やったか。ただそれやと桜も……顔が青ざめる。


「それでも、まだこれだけ霊相を残しているなんて本当に大したものだわ、だけどもう終わり」

掴んだ右手の黒い爪が、管状に変化し腕に突き刺さる。右手からさらに霊相が夜叉へ流れてゆく。


 ますます目眩が酷くなり体が震え始める。膝がガクガクと揺れて膝をついてしまう。

首を上げて夜叉を見ると、先程まで瀕死状態だった夜叉が、ほぼ全快している。


「なっ……」なんちゅう回復速度や……これやから夜叉は……

「やっぱりあなた達は美味しいわ。物凄く濃厚ね。純度も最高だわ。ああ……本当に楽しみだわ」


 夜叉が光悦とした表情で桜を見つめている。


「さ……桜ぁ……」頼む……動いてくれ……せめて桜だけでも……竹光……桐絵……。

「さて、そろそろ吸い切るかしら? 天鳳家の霊相は、私が全て吸い切ってあげるから安心しなさい」


 羽の周辺に、再び大量の黒い燐粉が現れ、三本の爪に変化させる。


「おやすみなさい」爪を振りかぶる。

「皆、すまん……桜……」桜を見つめる……。



「おやすみするのは、あなたですよ?」



 夜叉の背後に、一人の女性が立っていた。その声に爪の動きが止まる。

夜叉が振り返ると、同時に彼女の回転後ろ蹴りが炸裂し、夜叉の頭部を吹き飛ばす。


 勢いで夜叉の体がふすまをぶち破り、二十数メートル吹っ飛んでゆく。

意識が朦朧とした状態で、前に立つ女性を見上げる。


 深緑の髪に朱色の神衣、桜を描いた山吹色の羽織に身を包んだ女性が立っている。

まさか……何故ここに? ここにあなた様がいるという事は……。


「……咲耶姫様……何故……」

咲耶姫様が無言で私を見て、優しく微笑み頷く。ダダダダッと足音が廊下に響く。


「荒原っ!? 生きておるかっ!?」背後から強烈に全身が痺れる霊相を感じる。

この霊相、そして咲耶姫様……涙腺が緩むのを必死に堪える。


「静夜殿……私は……」静夜殿が、走り私の正面にしゃがみ私の目を見る。

真剣な眼差しで、今の私の状態を把握しようしている様だった。


「うむ。まだ心は生きとるな、阿呆、ええ歳してそんな顔するな」──鼻っ柱に強烈な拳骨をくらう。

すぐに立ち上がると、吹き飛んだ夜叉と、夜叉の結界内で眠る桜と私を改めて見る。


「姫、しばらく夜叉の相手頼むぞ、儂と水で荒原とその孫を診る」

「わかりました。遊んであげます」咲耶姫様が微笑む。


 静夜殿が、こちらに駆け寄ってくる。

「静夜殿……桜を……」涙を浮かべ懇願する私に、再び思いっきり鼻っ柱に拳骨を食らわしてくる。



「安心せい、もう大丈夫や」





この度は、当作品をお読み頂きありがとうございます。花月夜と申します。

当作品は、初めての執筆作品となります。

当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。

ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。

これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。

ありがとうございました。今後とも応援よろしくお願い致します。


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