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咲耶 二

※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。

もし、面白いと感じて頂ければ、ページ下部にある《投票!!》のクリックへのご協力お願いいたします。



 休憩を終え、三人で芝生広場の中心へ移動する。

 まだ時間も時間なので、広場に人は誰も居ないようだった。

 念の為に、人払いと認識阻害の結界を張っておく。


「ハク」

 己の中に呼びかけ、ハクを呼びだす。


「はい」ハクが姿を現すと同時に、女性二人の体が強張る。

「人払い頼むわ、サクヤ呼ぶから」

「わかりました」


 ハクが、白い羽衣を生成し、それが上空に舞い芝生広場を覆ってゆく。

 十秒もすると、完全に広場が包まれた。

 これで、一般の人が広場に近づく事はないだろう。


「すごい……」


 蓮葉が驚嘆の声を上げる。

「ハクありがとうな、しばらく維持で頼むわ」

「はい」ハクの姿が見えなくなる。


「サクヤ」

 己の中にいる、恐い人を呼びだす。


「なにか用ですか?」


 凛とした力強くも華やかな声が、燐たちの後ろから響く。

 背後には、ひとりの女性が立っていた。


「え!?」二人が振りむいて、驚き後ずさる。

「サクヤ、出番やで」というと、サクヤはニコニコしながら、ゆっくりとこちらに近づいてくる。

 私の目の前まで近づいてくると、「ふんっ!!」といきなりボディブローをかましてきた。


「ごぉふぉっ!!」体がくの字に曲がる。

「「えぇぇぇっ!!」」燐と蓮葉が驚き声を上げる。


 呼吸ができずしゃがみこむ。サクヤからの久々の一撃だった。

 修行時には、嫌と言うほど食らったが……、相変わらずとんでもないボディブローやな。

 顔をあげると、未だにニコニコしながらサクヤが私を見おろしてくる。


「なにか用ですか?」

「…………お力を貸してください。サクヤ様」


 深緑の森の様な、鮮やかな髪色をした女性。

 絹のように滑らかで光沢のある長い髪には、桜の髪飾りが揺れていた。

 薄い朱色を基調に赤色をあしらった衣に、桜の柄を散りばめた山吹色の羽織を纏っている。


 顔立ちもとても見目よく、本人からは花の甘い香りが漂っている。

 齢は不明だが、見た目は二十代で通用するほど若くみえる。


「で、静夜? 私に何をさせるつもりですか?」

 しゃがみこんでいる私に、手を差し出し立たせる。


「久しぶりに静夜から呼び出されたと思ったら、女性達とちちくり合ってるし……」

「なんでやねん」速攻でツッコんでおく。

 どうやらサクヤ様は、ご機嫌斜めなようである。まぁ、いつもやけど。


「サクヤには、この二人に稽古つけてあげてほしいねん」

「稽古? 私が? なぜですか?」


 今回呼び出した理由を、サクヤに大まかに説明する。

 サクヤも、今は私と半身を同化している為、現在置かれている大方の状況を理解はしている。


「そうですか。でもね静夜、いつも言っていますけど、私は戦闘よりも治療が主な……」

「バーサクヒーラーやん」再び殴られ、吹っ飛び倒れこむ。


「「…………」」


 顔をさすりながら起き上がり、燐と蓮葉を見やる。

「こちらが、お二人の相手をしてもらうサクヤです。私の式の中では、一番戦闘を得意としています」

 二人にサクヤの事を紹介していると、サクヤが後ろから尻を蹴りあげてくる。痛いから下駄で蹴らないで。


 サクヤは諦めたのか、ため息を付きながらも応えてくれるようだ。

「はぁ……まぁいいです。お相手してあげます。ですが、わたしは厳しいですよ?」

 女性陣は若干引いている様で、まだ少し離れた位置で立ち尽くしている。


 まあ当然の反応だろう。自分が使役している式に殴られ、足蹴にされているのだから。

 だが、サクヤは他の式とは別格なのである。式と呼称してはいるが、彼女は式ではない。


「ふたり共、遠慮なく殺すつもりでやってください。本気の実力を見たいので」

 私はそう述べてから、煽るように言った。


「ふたりではどう足掻いても、絶対に殺せませんから。たぶん傷一つ付けれないでしょう」


「!?」燐が目を見ひらく。

「…………」蓮葉は黙ってサクヤを凝視している。


 二人は、今まで東西それぞれの対策室の室長補佐をしてきた強者といえる。

 矜持もプライドもあるだろう。特に、燐は元分家とはいえ四輝院家の当主である。

 二人の表情が引き締まり、霊相が開放される。


「サクヤは、相手に大怪我させない程度で頼むわ」

 そう言いながらサクヤをみやる。


 サクヤは、既にやる気満々なのか、黙って微笑んでいる。

 さっきまで、嫌そうにため息までついてたのに。このバーサクヒーラーめ。


「…………」


 やりすぎないか不安である。まあ治療はできるけど……あのバーサクヒーラーが。

「おふたりさん、いらっしゃい」サクヤが微笑みながら手招きする。

 二人が近づき、サクヤと対峙する。


「よろしくお願いします」と燐が頭をさげる。

「ご覚悟を」蓮葉は、未だにサクヤを凝視していた。


 ふたりは距離を取り、各々得物を取りだす。

 燐は、右手に付けている腕輪から輝刀を生成し、腰を下げ構える。

 蓮葉は、腰のポーチから小さな黒い水晶玉と、御札を複数枚取り出しす。

 わたしは、双方の準備ができた事を確認し、開始の合図をおくる。



「はじめっ!!」




この度は、当作品をお読み頂きありがとうございます。花月夜と申します。

当作品は、初めての執筆作品となります。

当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。

ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。

これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。

ありがとうございました。今後とも応援よろしくお願い致します。


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