新生鬼霊対策室 一
※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。
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プロジェクターが起動し、スクリーンにはパワーポイントで作成されたであろうの資料が表示される。
そこには、概要、組織図、管轄区域、外部組織連携といった項目が並んでいる。
ページが進み、組織図のページが表示される。組織図の最上部には、宮内庁と防衛省。
一段下がり、愛宕日ノ舞大社の社名がある。
ということは、今後は警察組織ではなく宇野浄階の指示下に入るという事になるのだろうか?
そもそも大方の祓い屋達は、大社に所属しているから大きく変わる事はないのか?
その下には、初めて見る部署があった。統括鬼霊対策室と記載がある。
その下部に、四箇所の部署が傘下として設置されるようだ。
関西方面鬼霊対策室、関東方面鬼霊対策室。
九州沖縄方面鬼霊対策室、東北北海道方面鬼霊対策室。
単純に考えると、管轄を今までの二分割から四分割へ増やすということだろう。
そして、それを管理するのが、統括鬼霊対策室なのだろう。まあ至ってシンプルな構成だと思う。
「組織図に関してですが、組織上部に宮内庁、防衛省とありますが、私共は基本的には有事の場合を除き鬼霊対策室に対して干渉はいたしません。もちろん連携に協力は惜しみません。」
清水さんは、淡々と無責任な事を言っている。どういう意味なのだろうか。
「組織の総指揮権は、緊急の場合を除き、統括鬼霊対策室の室長へ一任致します」
「これは、宮内庁、防衛省、愛宕日ノ舞大社の了承を得ています」
なるほど、あくまで保護者って立ち位置に徹するのか。
宇野浄階が、総指揮かと思ったのだが。どうやら違うらしい。
「では、その統括鬼霊対策室の室長の任ですが……」
まあ、天鳳の爺さんがなるんだろうな。
「本日早朝の決議にて全会一致で、栄神静夜様を統括室長とすることを承認致しました」
「…………」
「……はい? すいません、何言ってるんですか?」
「プッ!!」
隣で、天鳳の爺さんが吹き出す。てか全会一致ってなんだ? いつ決した?
私が対策室に捕まったのって今日の朝ですよ?
何故既に決まっているんだ? おかしいですね。おかしいですね。
清水さんが、私の質問に回答する。
「統括鬼霊対策室の室長は、既に本日の早朝に私共とは別に、今回任命した新たな室長二名を合わせた七名で、審議をを行い結審しています」
はい? いやいや、そんな適当でいいの? 日本かかってんでしょ? 新たな室長って何者だよ。
「……そもそも会ったこともないのに、なぜそこまで信用できるんですか? 納得できません……」
てかさ、霊相の制御できなかったらどうするつもりやったん?
その時、宇野浄階が諭すように語りかけてくる。
「それだけ栄神の血が重要だということです。あなたの思っている以上に……霊相の制御に関しては、銀閣殿が極端であっただけで、歴代の静夜殿はある程度制御できていましたから」
「…………」
宇野浄階が続ける。
「静夜殿には、後方からの管理、指示、支援を主業務としてお願いしたいと思っています」
「は……はぁ……」
それは私でなくてもできるのでは? もっと適任がいると思うのだが……天鳳の爺さんとか。
「では、各管轄室長ですが」
新しい室長二名の内一人は知っている流名だった。
もう一人は聞いたことのない流名だったが、大体の想像はついた。
関西は天鳳荒原、関東は堂上月季、沖縄九州は功徳心、東北北海道は鬼戸睡蓮。
以上が新生鬼霊対策室の組織概要となった。
「では、管轄区域に関して」
これは、想定通りの説明だった。それぞれの対策室は管轄区域を割り振られている。
しかし、範囲に入っていない区域が生まれる、中国四国地方や中部地方などである。
そこは隣接した区域の対策室が共有して対応するということだ。
例えば、中部地方のの区域は、関西と関東の対策室が共有して管理するといった感じだ。
すべての区域に、配置できるのが理想なのだろうが、現実的ではないのだろう。
「続きまして、外部組織連携に関して」
外部組織連携は、いわゆる警察、自衛隊、海上保安庁と特務機関として連携を結び
協力を仰ぐ事ができる特権が与えられるというものだった。
基本的には、警察との連携は以前通りの情報共有や対応を行う。
その他は、避難誘導や移動時に協力を要請する事が多くなりそうだ。
戦闘での連携は、鬼相手には難しいだろう。
「本日の説明は以上となります」
一通りの説明が終了し、解散となった。
未だに、自分が統括室長と言うのは信じられないし、納得もできない状態ではある。
しかし、先代の事もあるし、宇野浄階自ら頭を下げ懇願されると断ることもできなかった。
宇野浄階が部屋を出る直前に、もう一度こちらを向き直り、一礼してお付きを引き連れ部屋を出ていった。
「ふぅ……」
ひどく疲れた。帰ってビールが飲みたい。たこ焼き食べたい。
「静夜殿、お疲れ様です」
斜め背後から声を掛けられ振り返る。
「ご挨拶遅れました。関東方面鬼霊対策室長を拝命しました堂上月季です」
堂上月季、元々東方鬼霊対策室の室長だった男性だ。慌てて立ち上がりこちらも挨拶する。
「こちらこそ、挨拶が遅れて申し訳ないです。栄神静夜です。これからよろしくお願いします」
深く頭を下げる。
「そんな謙遜なさらずに、私も全力でサポートさせていただきます。自信を持ってください」
「ありがとうございます」
この男性は、単純にいい人なのだろう。
握手し話していても、一切邪気を感じない。霊相も穏やかだ。
まだ若いだろうに、よくできた男性だと思う。
天鳳のじいさんから声がかかる。
「静夜殿、月季、他の面子との顔合わせに行くぞ」
この度は、ご覧いただきありがとうございます。花月夜と申します。
初めての執筆作品となります。
当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。
ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。
これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。
ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。