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京都御所 四

※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。

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 清水さんが、宇野浄階へ進行を促す。「はい」と宇野浄階が答えまっすぐに私を見つめてくる。


「栄神静夜殿、はじめまして。お会いできて嬉しく思います」

 直接声を掛けられ、身構えてしまう。


 うちの家系は、このお上から過去に対立し、一方的に失脚しているのだ。

 当代が代わったとはいえ、無闇に友好的に接するのは危険だと感じる。


「ど……どうも」


 てか、私なんでここにいるんだっけ?

 おどおどしながらではあったが、しっかり頭は下げておく。


「先代があられる銀閣(ぎんかく)殿が出て行かれてから、もうしばらくになりますね」


 まあ、もう二十七年くらい前の話やもんな。爺さんの名前久々に聞いたな。


「まさか、お世継(よつ)ぎの方がいらっしゃるとは、思いもしませんでした」


 てか、なんで宇野浄階は、リアルタイムで経験したみたいに話しているの?

 当時五歳くらいじゃないの? あれ? どゆこと?


「あの方は、何度もお世継ぎは作らず、己の代で終わらせる」


 あぁ、爺さんそれよく言ってたな。


「もう栄神の時代じゃないと、頑なに仰っていましたから」


 だが、私が高校を卒業した頃に、言っている事が一八〇度変わる。


 何があったのかは決して言わなかったが、爺さんが急に栄神の加護が必要な時が来ると言い出した。

 急遽、私が跡継ぎとして代を継ぐ事となり、過酷な修行がはじまった。


 本当に地獄だったのは覚えている。

 とにかく頑固で厳しい爺さんだった。


「ところで静夜殿、先代はなぜ出て行かれたかは、ご存知ですか?」


 宇野浄階が少し悲しそうな表情を浮かべて問いかけてくる。


「はい、うちの家系の異質さ故に、裏から代々の帝と大社の近衛に徹するよう指示されていたからと……」


 少し間が空き「それ以外の行動は決して認められなかったと……」

 これは何度も聞いた話だ。たまに酔った爺さんが語りだす時は決まってこの話だった。


「そうですね。しかし今までの栄神静夜と違い、銀閣(ぎんかく)殿は平等に国民の救済を行う事を信念としていた。とても正義感の強いお方でした。頑固なまでに……」


 うちの爺さんは、本当に頑固だから、それだけは曲げなかったんだろうな。


「しかし、そうせざる得ない理由もあったのです。栄神の血を継ぐ者が、あまりに危険であり強大すぎる故に」

「…………」


「本来、鬼を除いた大鬼や獄鬼などの上位の鬼の対処は集団で行います」

「鬼祓いにあの方が参加すると、周りの祓い屋や付近の住民が栄神の霊相にあてられてしまうのです」

「周りに影響が出ないと判断できる事案であれば、お願いすることもありましたが、ごく僅かでした」


 うむ。まあ宇野浄階が言っていることは納得できる。

 周りに影響を与えてしまうのは、私にも経験がある。


 うちの家系は、霊相を抑える技術が苦手なのだ。

 特に、先代はそれが極端に苦手だった。

 だから、うちの家系の人間は、基本霊相はたれ流しになっている。


 普段の生活では、霊相のない一般人には無害だ。

 だが、それでも霊相が強い人間には、それが強ければ強いほどきついらしい。


 今日の朝、車内で濱元さんが震えていたのも、それが原因だろう。

 それに気づいて、できる限り抑えたら震えは止まったようだったし。


「それはよくわかります」


 宇野浄階がゆっくり頷く。


「静夜殿、現在鬼が増殖し続けているのは、ご存知ですか?」

「はい」


「このまま鬼が増殖する原因が不明の状態が続くと、確実に日本は魑魅魍魎に飲み込まれてしまいます」

「……はい」


 本当に、このまま鬼が増殖してしまう状況が続けば、人的被害も増えるだろう。

 その上、大鬼(おおおに)獄鬼(ごくおに)が増えてしまうと、災害レベルの被害が発生しかねない。


「このまま、黙って見ている訳には行きませんよね?」


 宇野浄階からの視線が一層鋭くなる。発せられる霊相が増し、体が痺れるような感覚を覚える。


「は……はい」


 あー、嫌な予感がする。

 宇野浄階は頷くと、とうとう本題を切り出してきた。


この度は、ご覧いただきありがとうございます。花月夜と申します。

初めての執筆作品となります。

当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。

ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。

これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。

ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。


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