結界師 三
※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。
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「確かに鬼の数は減っていますが、大鬼の数は増えていませんね。どういうことなんでしょうか? 合成されたのであれば、上位の鬼の数が増えるものだと思うのですが……」
燐が、隣で同じくモニターを見上げながら呟いた。
その通りだ。本来、鬼を合成したのであれば、上位の鬼が発生するはず。
しかし、モニターに映る鬼の数は減るばかりで、大鬼の数は一向に変化は見られなかった。
ふとしたことで、ある懸念が浮かんできた。リアルタイムに先程まで話していた話題で思い出したのだ。
結界だ。一定の指定した範囲に結界を張り、そこに鬼たちを閉じ込めている?
その結界の影響で、天網の探索に引っかからないのではないかと考えたのだ。
「これ、もしかして結界に覆われた箇所の探索って、できてないのかな? それなら現在の状況も説明がつくんやけど」
私の言葉に、燐と近くにいた蓮葉の顔が、驚きに変わる。
「確かに……それだと説明がつきますね。ですが、それだけの結界を準備して維持しようとすれば、かなりの霊相と実力が必要となります。まさか、顕一学舎にも結界師がいるということでしょうか?」
蓮葉が、若干引きつった顔で私の言葉に頷いた。燐は黙ってモニターを見つめていた。
「わかりません。もうすぐ会議ですし、その時に柊姉妹に結界について聞いてみましょう」
◇◆◇◆
会議の予定時間のの五分前に、天鳳の爺さんと霞が対策室に入ってきた。
今回の会議で太宰府への遠征について説明する予定なので、同伴する霞にも参加してもらうことにした。
先ほどよりは幾分落ち着いたようだが、まだ彼女はソワソワしているようだった。
私も立ち上がり、二人に続くように会議室へ向かった。
会議室では通信技師と、補佐達がテキパキと準備を進めている。
もう他の隊員たちは準備ができているようで画面の前で待機していた。
我々も席に腰を下ろして、マイクのスイッチを入れた。
霞は緊張しているのか、眼の前のノートPCの画面とプロジェクターの画面を交互に見ている。
「では、会議を開始する前に、一人紹介したい隊員がいるので紹介を。霞さん?」
私の言葉に、ビクッっと背筋を伸ばした霞が「ひゃいっ!」と立ち上がる。
立ち上がったことにより、彼女が完全に見切れてしまっている。やっぱこの子おもろいな。
「霞さん、落ち着いて。座ったままで結構ですから簡単に自己紹介を」
「は……はい、失礼しました。関西方面鬼霊対策室所属の白井霞です。宜しくお願いします」
霞が恥ずかしそうに顔を真っ赤にして席に腰を下ろして、カメラに向けて頭を下げた。
「ありがとうございます。彼女をこちらに呼んだ理由は後ほど説明します。では、会議をはじめましょう。蓮葉」
「はい、では蓮華補佐、現在の最新の状況を説明してください」
蓮葉の言葉に、蓮華が資料も持ち上げて報告を開始する。
「はい、現在早川家及び久井家の警護に大きな変化は見られません。防犯カメラの設置も全台問題なく設置完了しています。ですが、一つ気になるのが、それぞれの氏家も警護には協力的なのですが、羅刹の結界に関する情報は頑として話してくれません。失礼ですが、統括室長はどこまで情報を把握されているのでしょうか?」
蓮華の言葉に、私は頷いて答えた。
「羅刹の結界の情報は、最上位の機密情報として大社で扱われているので、他言できないようです。私も浄階から口止めされています。後ほど改めて説明しますが、明日からの大宰府遠征に同行する者と、功徳室長と蓮華補佐には情報開示するつもりです。今言えるのはそれだけです」
蓮華が、「ありがとうございます」と頭を下げた。
「では、千草統括室長補佐。延暦寺での活動報告をお願いします」
蓮葉が、千草に延暦寺での出来事の報告を求めた。
千草は、「はい」と答えると、延暦寺の偵察から顕一学舎との邂逅までのあらましをまとめて説明した。
説明を聞いた皆々の表情は様々だったが、急展開な展開に驚いているようだった。
「怨嗟での崩玉の作成でしたか、東ノ六言の武田理人という人物はそれをうまく利用したようですね。行動を見るに竜胆とういう女性は、まだ復讐を終えていないと考えるべきなんでしょうね。ですが、天台宗の延暦寺と連携をとることができるのは朗報じゃないですか。まだしがらみは残っているでしょうが、随分な進歩だと思います」
月季がそう言うと、皆がそれに頷いた。
私は蓮葉に通信士と通信技師の出向についての人選の進捗を確認する。
現在は、各対策室に発布を出して希望者を募っているとのことだった。
すでに志望者が数名いるようで、現在各対策室の通信士と通信技師の人数の調整中らしい。
彼女の報告を聞き、頷いた私は次の議題へと話しを進めた。
「柊所長に確認したいことがあります」
この度は、当作品をお読み頂きありがとうございます。花月夜と申します。
当作品は、初めての執筆作品となります。
当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。
ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。
これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。
ありがとうございました。今後とも応援よろしくお願い致します。