2. 始まりの惨劇、そして復讐の剣
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カグロは怯え切って動けず、後ろへと這いずっていた。
その時、倒れた母親が荒い息を吐きながら言った。
「カグロ……お前だけは……」
彼女は最後の力を振り絞るように唇を動かした。
「先祖様……このままではアマカゼ家は滅び、この国も崩壊します。どうか人類が滅亡しないように……奇跡よ、もう一度起これ、剣よ……立て……召喚術、ヴァルグラント……」
その瞬間――空が裂けた。
雷鳴のような轟音と共に、巨大な光の裂け目が開き、その中から黒い光の帯が降り注いだ。一本の神の槍のような稲妻がカグロの掌に落ちた。
ドカーン!
カグロの全身が熱く燃え上がり、息が詰まるような気配が襲った。
そして、その稲妻の中から剣が現れた。
銀白の刃。表面には古代のルーンが赤く刻まれ、刃先には稲妻の火花が散っていた。剣を握った瞬間、カグロの瞳が変わった。恐怖に凍りついていた心が砕け散り、血に染まった空気が再び激しく揺れ動き始めた。
魔族は大きな音と凄まじい殺気を感じて振り返り、
歯ぎしりしながら叫んだ。
「その手を止めろ! その剣は……!」
しかし、もう遅かった。
カグロは足で床を蹴り飛び出した。足跡が残る床には亀裂が走り、その速度は稲妻のように鋭く、剣の閃光は一瞬で空気を切り裂いた。
バキィン!
魔族の腕が空中に赤い弧を描きながら斬り落とされ、血が噴き出した。その隙にカグロは素早く剣を収めて回転した。
魔族の叫び。
「この野郎!!」
カグロの手に握られた剣が赤い閃光を放ち、空を裂くように振り下ろされた。
「血炎斬!」
赤い魔力の軌跡が一直線に伸び、空気を裂いて飛んだその一撃が魔族の首を正確に切り落とした。魔族の身体はよろめき血を吐き、その場で爆発するかのように赤い煙とともに粉々になった。
血と灰だけが残った部屋の中。
カグロは荒い息をつき、そのまま床に崩れ落ちた。手に握る剣の先から血滴がぽたりと落ち、割れた窓の隙間から赤い月光が部屋を染めた。
タタタッ!
誰かの助けを求める声がして、救援の兵士たちが駆けつけた。
「そこにいるか!」
「生存者を発見!急いで救助を!」
「アマカゼ様はどこだ!」
その夜、街全体にアマカゼ家の没落が知らされ、現当主アマカゼ・クロザエモンとその妻は死亡、長女アマカゼ・ヒナは行方不明、生存者はアマカゼ・カグロ一人となった事件として終結した。
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